Road3 サービス開始
俺が最初に降り立った場所は町の中の噴水がある広場。そばには祈りをささげている女神を思い起こさせる銅像が立っており、それを囲むように四方に天使の像がある。四方の像に囲まれたこの場所だけ地面の材質が違う。
どうやらここが鈴から聞いた出発地点兼組成ポイントらしい。
すでに多くのプレイヤーが町の中へ出かけたり、チャットを使って話したりしており、その間にもこの広場にプレイヤーが転移してきている。正式サービスから始めたプレイヤーは多くが町を見回している人たちだろう。ベータからの人たちはすぐに移動したりしている。分かりやすい。
「さて、そろそろ行くか。」
と言いつつもまずはスキルの習得だろう。スキルは普通スキルのレベルアップで得られるスキルポイント、SPを消費して習得する。スキルによって習得するためのSP使用料は違うらしい。
しかし、初めの十個を取る場合のみSPはいらない。他にもクエストなんかで使えるようになるものはいらない、と鈴から聞いた。そして俺はこれらのスキルを選んだ。
SP 0pt
メインスキル
「剣Lv1」「調教Lv1」「調合Lv1」「工芸Lv1」「鳥の目Lv1」「速度上昇Lv1」「身軽Lv1」「魔力Lv1」「見切りLv1」「感知Lv1」
調合と工芸は生産スキル、剣はそのまんま。その他は自分の能力を上げたりするパッシブスキルとアクティブスキルだ
自分が目指すのは軽装で戦闘と生産を兼ねることが出来るプレイヤーだ。始めたばかりでは難しいかもしれないが後に新しいスキルやアイテムでそこは補おうと思う。
これからのプレイスタイルについて考えているとポーンと軽い音が鳴り視界の隅にアイコンが出た。それと簡易的な説明文も。誰かがチャットをつないできたらしい。チャットはフレンド登録をするかハードのアドレスを知っていればつなげることが出来る。
「チャットオン。」
『あ、つながった。お兄ちゃん聞こえてる?」
「鈴か。大丈夫だ。聞こえてるぞ。」
『今どこにいるの? こっちは北の広場にいるけど。』
「わかった。じゃあそっち行くわ。」
『ほーい。目印は剣を持った女神像。その下にお姉ちゃんといるよ。」
聞いたところ俺がいるのは東の広場らしい。そう言ってチャットを切りその場を後にする。町中を進んでいくと道中武器屋や雑貨屋などの商店らしきものを発見し道を覚えておく。まあ掲示板なんかを見れば地図があるので迷ったりいちいち探したりすることはないのだろうが、覚えておくほうが楽だろう。
北の広場は東の広場とあまり変わらないが女神像が剣と盾を持ち、その存在を示すかのように剣を掲げている。同じようにそれを囲む天使の像。方角覚えてないと迷いそうだな。
「あ、来た来た。こっちこっち!」
声のした方向を向くと水色の髪をサイドアップにした少女が手を振っており、青紫色のポニーテールの女性がそばに立っている。
「鈴と風佳姉であってる?」
「うん。こっちではリンって名前だよ。」
「私はミラね。」
「スキルは取ったの?」
「取ったけどそっちは?」
「ばっちり取ったよ!! お兄ちゃんはどんなの取ったの?」
そんなVサインしながら言わんでもいいのに。いつどんな時でも元気だな鈴は、いや今はリンか。そしてお互いにスキルを見せ合うとなんか微妙な顔をされた。まあ想像はつくが。
「バランス悪いなぁ。初めの頃はどっちもしない方がいいのに。」
「そういうと思ったよ。やっぱりか。」
「まあいいんじゃない?キリが好きなようにやったら?」
言われなくてもそうさせてもらうつもりです。まあこれから頑張っていけばいいんだし。
その後少しばかり共に冒険することになったので、ポーションなどを買いに商店へ行った。ちなみに初期の所持金は五千G。ベータからの人は所持金のみ引き継げるらしい。NPC商店ではいいものは買えないらしい、が初めの頃はそれで十分だと思うが。
ポーション五個を買い、近くの武具屋で初期装備の胸当てを売り、レザープレートを購入した。武器や防具には耐久値があるらしく、それがゼロになると壊れてしまう。回復させるには鍛冶屋や武器屋で修理してもらうか、耐久値を回復させる砥石というアイテムが必要らしい。リンが言うにはビギナーにとっては割に合わないくらい高いらしいが。
けれど初期の防具にはそれが無い、が町の周辺以外で戦うには厳しいらしい。防具の部位は頭、胸、腕、腰、足の五種類である。その他の装飾はこれらに当てはまらないが、重量制限があるらしく初期ステータスでは10らしい。これはスキルレベルの上昇や重量軽減などのスキルをとるなどすると上がるらしい。
今の俺の状態はこんな感じである
武器:冒険者の剣
頭:無し
胸:レザープレート
腕:無し
腰:冒険者のズボン
足:冒険者の靴
所持金 1000G
剣は初めにスキルを取った時にもらえた。一番初めに習得した武器スキルの武器をもらえるらしく、杖スキルを取ると杖が、槍スキルを取ると槍がといった具合にだ。ちなみにこの初めにもらえる武器は武器屋に売ってあるものとは違うらしい。どう違うのかは分からないが。
現在俺たちは町の南側でスライムと交戦中である。
「相変わらずスライムって雑魚キャラ扱いなんだな。」
「そうだね、わかりやすくていいね。」
そんな軽口を聞ける具合にスライムの動きは遅い。ただ弱点の核以外のは物理攻撃は効きにくく、弱点を狙う練習にはなった。ちなみに魔法は全属性が弱点、もうちょい耐性持てよ。
「じゃあ最後はスキルアーツで、スラッシュ!!」
リンが今使ったのは剣スキル5で使えるスキルアーツ、「スラッシュ」だ。攻撃力1.5倍で攻撃でき、再使用時間も短くどの態勢でも使える汎用性の高いスキルアーツだ。
エフェクトをきらめかせながらスライムを切り裂くとスライムは縮んで光の粒子となって消え去った。
「それじゃあねお姉ちゃん、お兄ちゃん。」
「じゃあね。」
「また今度。」
スライムと数回戦った後俺たちは町へ戻った。あれは俺に戦闘経験を積ませるためだと前から二人で考えていたらしい。その後は自由にする、ということで二人と別れた。リンはウキウキでどっかいったがおそらくベータの時の友人とプレイするつもりだろうな。ミラ姉も多分同じだろう。
さて、これからどうするか。