Road10 小屋とクエスト?
次の日ログイン。
畑を見に行く、そして小屋を見に行く。さてどうなっているのか楽しみだ。
「まずは畑か。」
南の広場から北側へと歩いていく。まだ三日目だから人は多い。人込みは少し苦手なんだがな。
気にせず歩く。
やがて北側に着いた。
「畑は…おっ、芽が生えてる。」
薬草、毒草を植えたところは芽が出ていた。隣に植えるのは悪いだろうから少し離れて青の花や赤の花を植えてみたんだがそちらは変化がない。
まあどれも一気に咲いたらおかしいけどな。
水をやったらお待ちかねの小屋に行く。
「見た目はただの小屋なんだが…。」
雨風にさらされていたためか屋根の一部はボロボロで触ると木くずが落ちる。
外見で他に異常は無いっぽいな。
小屋とは言うがそれなりにしっかりしている。
「じゃ入りますか。」
地主書と一緒に渡された鍵を使い扉を開ける。
「けほっ。空気悪!」
そりゃそうだよな。何年も閉めっぱなしで放置してたら空気よどむにきまってるわな。
とりあえず近くの窓を開けて中を見渡す。
「階段あるし。二階があるのか。」
一階は主に三つに分かれている。
扉を開けて入るのはおそらくリビングだろう。家具も何もないのでとても広く感じる。
奥に二つの扉があり、手前側の扉を入ると少し縦長な長方形の部屋に出る。床は手前が木で奥が石だ。何かの作業場みたいだな。
もう一つの扉を入るとベットの骨組みがそのまま残っていた。おそらく寝室だとは思が、
「何か引きずった跡があるな。書斎の道具でも置いてたか?」
それはさすがに無いな。
二階に部屋は二つ。どちらも似た部屋だ部屋だ。寝室でも物置にでも使えるだろう。
しかしまぁ…
「ここホントに十万の所か? なかなかの所だぞ、立地の問題か?」
不動産のことは知らんがこれはもったいない気がする。早めに買うことができて良かったな。
「じゃ、掃除しますか。」
たしか裏に井戸があったはずだ。
外に出て井戸があった場所に行く。
井戸も小屋と同じで古びてはいるが蓋があったおかげか水は汚れては無くきれいなままだった。水をくむ桶は植物が絡まっていたのでとってきれいにはしたがボロい。後で新しくするか。
「雑巾はある、バケツ、脚立もOK。よし、やるか。」
ということで掃除開始。
上の方から壁、窓、床と地道にやっていく。
リビングっぽいとこが終われば次は物置っぽいところを始める。
「あー、きつい。」
と言っても雑巾で床やほこりが溜まっているところを水拭きしているだけなんだが。
……ん?
「床下収納? この家を持っていた人は色々しすぎだと思うな。」
とりあえず開けてみる。大きさは五十センチぐらいか。 上に蓋をつけた鍵もない簡単なつくりだ。
中には…本? それに手帳?
「忘れていったのか? 内容は…。」
家畜の種類、肥料の調合比率、エサの調合比率、育てる時期云々。やはりなにやら農業をしてた人らしいな。
「手帳は何だ? そこそこ古いな。」
少しめくってみたが特に何も書いていない。
ポトッ。
「ん?」
なんか落ちたな。紙?
「これは…?」
『儂は自分が情けない。婆さんと孫娘たちと共に続けていきたいと言うとったのに。
全ては儂の力不足じゃ。なんも言うことが出来ん。
今では借りた金を返すだけの日々じゃ。孫娘たちは王都へ出稼ぎに行ってしもうた。
儂たちのために申し訳ない。ただ孫娘たちもまた一緒にやりたいと言ってくれおる、その言葉だけで儂は勇気が出る。
もう少しなんじゃ。あともう少しで終わるんじゃ。
…もしこの手紙を見る者がおったら北地区のフラの大木のそばの家まで来てくれんか。
儂の頼みを聞いてはくれんか。
まだ儂はあきらめたくはないんじゃ。』
[クエスト:「北側の地、復活」が発生しました。]
何かクエスト発生した。
「こんなところでもクエストがあるとは。分からんもんだな。」
クエストとは主に街の住民が頼む依頼のことだ。
クリアするとアイテムなどの報酬がもらえる。
「北側の地、復活。どこぞの新聞記事の見出しだよ。」
北側の地はここのことだろ、でそれの復活ってことはあの農夫のじいさんが言っていた牧場とかが復活するってことか。
「とりあえず詳細を見てみるか。」
ウィンドウメニューからクエスト、受けているクエスト詳細ッと。
クエスト名:北側の地、復活。
数年前に機能をほぼ失った北側の地。しかし完全に失われたわけではない。北側の地の再生を望む者たちと協力し北側の地を復活させよ。
進行度:0%
手帳に書かれてある家に行き、詳細を聞こう。
「…ここか。」
ということでそのじいさんがいるらしいフラの大木? の傍にある家にやってきた。裏通り的なところにあったので少し見つけるのに苦労したが特に問題は無い。
入口の柵を開けてドアをノックする。
「開いとるぞ。」
返事が返ってきたのでお邪魔することにする。
中はこれといった特徴は無い普通の部屋。ちょっと小物や花が飾ってあるくらいか。
さっそく本題に入ろうか。
「これを書いたのはあなたですか?」
と言って手帳と紙を出し見せる。
「それは…確かに儂が書いたものじゃ。お前さん儂の頼みを聞いてくれるのか?」
「内容によりますけど出来る限りのことはしますよ。」
出来んことは出来んからな。
「そうか…。それならまずはなぜこんなことになっているかを話さねばならぬのう。」
ざっくり要約するとこんな感じだ。
じいさんの名はレフール。北側で一番の大きさを誇っていた牧場の元主だ。
妻の婆さん、息子夫婦とその娘三人で牧場を営んでいたが数年前のモンスター大量発生で北側の土地は全滅。
その後は農作物が育たなくなり多くの者が土地を売り、移住などをした。
レフールのじいさんはここに残り、何とか農業を再開したいと持っている。が借金返済のために土地を売ったため手元にはほとんどないので手を貸してほしい。
との事。
「で、実際にはどうすれば?」
「まずは作物が育ちやすくせねばならん。そのための下準備じゃな。」
レフールのじいさんによると作物が育ちにくくなっている原因は土地の養分不足らしい。
「というわけでじゃ。これに書いてあるものを持ってきてほしい。」
そう言って紙を渡された。
「何かあったらまたわしの元へ来てくれんか。」
そう言ってレフールのじいさんは部屋に戻った。
進行度:10%
レフールさんに指定されたものを集めよう。
「今すぐにはやらんがな。」
長そうなクエストなのでひとまず放っておこうと思う。まだこのゲームになれていないし、知らないことがありすぎる。何より自分が弱い。このクエストは戦闘こそないもののアイテム収集に時間がかかる。
ま、気長にしますか。今日はログアウトしよう。
とてつもない適当設定。自分自身呆れてしまいます。




