第五十八話:夜食を食べよう
月の見えない空、森の夜は闇が深い。
生い茂る木々の枝から漏れる灯りといえば、木の葉の隙間に浮かぶ星々の煌きのみ。
その僅か垣間見える星に目を凝らせば、空が落ちないかと不安がるかのような表情となる。
「マルコ、どうしたの。空から使徒でも落ちてくるの?」
「来ナイヨ、ソンナモノハ」
エルフの少女に占領された小屋の外、簡易寝所として作られたハンモックに横たわる俺。
声を掛けてきたのは、小屋を奪った当人いや当エルフのフィーオである。
「じゃあ鯨座のセイントかしら」
「アノナァ」
「アクシズって線もありますぜっ」
フィーオが発する謎の言葉に続いて、いつの間に居たのか元野盗のヌケサクが混じってきた。
全く、夜中に何をしているのだ、こいつらは。
「サッサト寝ロ。夜ニ起キテイルノハ不健全ダゾ」
「マルコだって寝てないじゃない。自分だけズルいっ」
「俺ハ心ヲ安メテイレバ、ジキニ眠クナル」
ぶーぶーと文句を言うフィーオに、ヌケサクは同意するかの如く片腕を振り上げた。
その爛々とした瞳、寝る気無し。
「我々は今こそ、立たねばならんのであるっ」
「イヤ、寝ロッテバ」
「諸君らの愛した幼い坊やのガルマに、目覚めてくれと放たれたのだっ」
「それガルマ死んでるわねぇ」
永眠じゃねぇか。
まぁ無理やり寝ようとすると、逆に気が張って目も冴えてしまう。
遊んでいてそういう気分になっても仕方無いから、不眠症対策として俺は身体を起こした。
「立った、立った! ジオン国民が立った!」
「俺ハ、ソンナ国ニ属シタ覚エハ無イ」
「どうです? 眠れない夜の散歩でも行きませんか」
ヌケサクにナンパされてもなぁ。
とはいえ、ここでウダウダしてても仕方無い。
俺はハンモックから降りて、とりあえず水差しから一口飲む。
「夜ノ森ハ危険ダゾ。毒ヲ持ッタ虫ヤ小動物ニ気付カンカラナ」
「いえいえ、そんな遠くへは行きません。ちょいと面白い所がありましてね」
「へー。ここでガルマ絶対殺す演説しててもアレだし、行きましょうよ」
不穏過ぎる名前の演説だろ、おい。
「だって『諸君の愛したガルマは死んだ。鬼となって蘇った!』とか言わない?」
「そりゃあ『圧倒的国力差で戦えたのは何故か? ガルマが死んだからだ!』は基本でしょう」
「他にも『諸君、私はガルマが好きだ。よろしい、ならば戦争だ』とか」
基本かどうかはともかく、どんな悪党なんだガルマ。気になってきたぞ。
* * *
ヌケサクに案内されて、森へと分け入る。
森を抜ける行商の為に少し整備された道の途中、それはあった。
「ブヒヒィ(いらさーい、いらさーい)」
「ふんごー(社長! 五百円ポッキリでどう! よっ、社長。この高倉健!)」
なんか怪しいオーク族の二人組が、屋台の前で一生懸命呼び込みをしていた。
屋台の奥で猫女のクィンが、慣れた手付きでラーメンを湯でくぐらせる。
『いよぅ。あんたらも夜食かい?』
「オイオイ。何ヲシテルンダ、オマエラ」
『見ての通り、ラーメン屋台さ。チャルメラもあるよ』
ちゃらら~ちゃら、ちゃらららら~。
「ああ、ひとり専門ラーメン屋で替え玉する時の音ね」
『えっ!?』
「ご存知、ないのですか? チャルメラッ」
フィーオがこっくりと頷いたのを見て、猫女とヌケサクが頭を抱えて蹲る。
なにやら「これが若さか」「スパークさせて」「振り向かない事さ」と表情が虚ろだ。
うーん、譲れない何かだったのだろうか。
『まぁいいや。それで、何を食うんだい』
「かけ二杯、大至急頼むで」
お待ちどう、と出されたうどんをヌケサクが舌なめずりして手を付ける。
「うぅ、この匂いやっ。たまらん!」
「ラーメン屋台ジャナカッタノカヨ……」
結局、何でも食わせてくれるんだな、ここは。
俺も適当に注文してみるか。
「私、のりラーメン。あと、にんにくラーメン、チャーシュー抜き」
『はいよっ。フィーオちゃんは綾波セットで、マルコ君は?』
「ツケ麺ノ温カイノヲ頼ム。シカシ良ク食ウナ、フィーオ」
「ん? 食べきれるワケ無いじゃない。残すわよ、勿論」
少女の頭をグリグリと握りこぶしでえぐり込む。
食べ物を残すような子には、お仕置きせざるを得ない。
「いたたたっ! 冗談だってばぁ。月見そばでお願いよぅ」
『はいはい、月見そばにチェンジね』
「ふふふっ。空には無い月が、丼の中でまぁるく浮かぶ……いい景色ね」
『どうせなら、けつねソバにすりゃ良いじゃないか』
たかがソバで何を言っているんだ、この子達は。俺に何かを啓蒙しているのか?
仕上がったつけ麺を手繰らせて、俺はモグモグと咀嚼する。
ヌケサクについていったら、思いがけない夜食となってしまったな。
* * *
つけ麺を平らげて、俺は湯割りをしつつ屋台を見回す。
深夜の森、幾ら行商が通るかもしれないとはいえ、まさか店を出すとは。
「他ニ客ガ来ルノカネェ」
「あそこに座ってるわよ、ほら」
フィーオが指差す方を見ると、確かに切り株の上で幾人かが何かを啜っている。
今まで気づかなかった理由は単純だ。
そいつらは全身を黒尽くめにし、顔までも黒く塗って闇に溶け込んでいた。
こんなに怪しい奴等、目を引かないワケが無い。
「ならなんで気付かなかったのさ」
「視野ニ入レテモ、脳ガ認識ヲ拒絶スルンダ」
せめて、もう少し怪しくないアピールをして欲しいものである。
連中はズルズルと食べて続け、その中心に居た痩身の女性が箸を髪留めにして口を開く。
「コロッケも、欲しいな」
「ふんごー(あいよー。コロッケ追加ぁ)」
『なんだ、あっちがけつねコロッケのお銀だったかい。この時間帯、変なのが多く来るね』
「客ニ変ナアダ名ヲ付ケナイデクレナイカ」
『えー。付けるに決まってるじゃない。アマゾンとか楽天現金マンとかゴム集積所とか』
「オマエ、最低ノ屑ダナ」
ちゃっちゃっとコロッケを揚げながら、猫女はニヤリと笑って答えた。
『接客に幻想持っちゃダメよ、紅の養豚場君』
「俺ノ名前知ッテルダロ、オマエ。アダ名ヤメロ』
しかし、わざわざ屋台から離れて飯を食らう黒装束の一団。
どう考えてもマトモじゃない。俺は何気なく耳をそばだてさせた。
中央に居た女性が、静かに言葉を紡ぐ。
「食事を終えたら、この森に居るエルフ少女を捕まえに行くぞ」
「はい、側近殿。しかしなんせ王子の嫁候補ですから、丁重に扱わねばなりません」
「うむ。食欲を満たし、他の欲望が交わらぬよう心掛けよ」
うーん。
俺は速攻で連中を眠らせるべくコッソリと動く準備をしたが、それを猫女が止める。
『まぁ待ちなよ。もうちょっと泳がせなって』
「なんであんなにペラペラ喋ってんですかね、あの馬鹿ども」
うどんをすすりつつ、ヌケサクが当然の疑問を口にした。
あそこまでコテコテに怪しい出で立ちなのだ。
恐らく、ああいう美学なんだろう、うん。たぶん、きっと。
『んーにゃ。丼に、思った事を喋っちゃう秘密のポーションを混ぜといた』
「オイ、コノ屑ヲ消セ」
「ブヒヒィ(御意)」
猫女に吹き飛ばされて消えたピッグを無視し、俺は連中を見る。
あの様子、例の隣国の王子が放った隠密か。
しかしフィーオの誘拐とは、大胆な作戦で来たものだ。
「こんな森に屋台があって助かりましたね。十日ぶりの飯は美味いっす」
「隠密たる者、飯なんざ現地調達が原則だ。箸は二人で一本、倒れた者の箸を奪って前に進むのだ」
じゃあ箸を一膳揃えたいなら、四人中三人が倒れる計算じゃねぇか。
幾らなんでも部下を大事にしなさすぎだ。
「エルフ少女を誘拐出来れば、無用な戦争の口実は防げる。気合を入れて仕事しなさい」
「御意です、側近殿。我々精鋭部隊にお任せ下さい。いよっ、いい女」
本当に思った事をペラペラ喋っちゃうんだね、この人達。
ポーションとか言ってるけど、要はアレだな。自白剤だな、うん。
「酒に酔わせて喋り出す、みたいな感じですか」
「質ノ悪イ店ダナァ」
「ブヒヒィ(常連の身を案じての超法規的措置です)」
この店に一回も来た事ねぇぞ、俺。
ピッグは顔を両手で覆い、おのが行為に絶望していた。
「ブヒヒィ(あぁ、俺は最低だ。最低の店員だ。身内を守る為に薬を混ぜる)」
「ふんごー(ヌケサク兄貴、マルコ兄貴、フィーオ姐御よ。俺達の魂の選択を笑わば笑えっ)」
『そう、薬入れたのは見なかった事にしよぅー!』
わはははー、と笑い合う極悪調理人の三人組。
うーん。俺も食ったけど、つけ麺を吐いておくべきか悩んでしまうな。
俺と同じ疑念を抱いたのか、ヌケサクも食ったうどんを器用にも鼻から吐き出していた。
「ワイは駄目や。駄目な野盗なんや……」
「ふんごー(あ、間違えてヌケサク兄貴のにも薬入れちゃいました)」
「気ニスルナ」
件の連中に視線と耳を戻すと、何やら様子がおかしい。
中央に居た女性以外は、妙な興奮状態へと陥っているのだ。
「ヤサイ・アブラ・メン・スープ・カラシ・マシマシ」
「単なる大盛りじゃねぇか、ぎゃはは」
「なにがギルティだっ。くだらねぇ、たかがソバじゃねぇかー!」
「だが、結構な景色だ。マシマシはラーメンの極みだよ。そうは思わないかい? 樋口シンジ君」
完全にキマってる。
あ、そういや自白剤は、酩酊にも似た状態になるって話だったな。
危険極まりない屋台だぜ。
「お前たち興奮するな。これから仕事に掛かるのだぞ」
「月は出ているか? 出ているだろう? 遥かな轟きぃ」
「なんだと言うのだっ」
女性だけはまだ正気なのか、周りの変化に驚きを隠していない。
やがて精鋭部隊と自称した連中の一人が、興奮した面持ちで口を開く。
「馬鹿王子への忠誠なんてポーイッだ。俺はいい暮らしが出来ればそれで良い~」
「なっ!?」
女性は黒く塗った顔を痙攣させて、それを言った男を睨みつける。
だがその男に終わらず、別の者もどんどん話し出した。
「こんな森まで不眠不休で……しかも嫁だぁ? ふざけんなよな」
「どうせ王子軍の実権は、とっくに別の将軍が握ってる。馬鹿馬鹿しい任務だぜ」
「戦争したーい。戦争したーい。どうでもいいから任務失敗して戦争したーい」
「お、お前たちぃ~」
プルプルと怒りに震える女性が、本心を暴露する精鋭たちに手を上げようとした。
だがその振り上げた腕を、ふっと自分の胸元に戻す。
「私だって王子に言いたい事の一つくらいある……あぁ、えっちしてぇ!!」
なお王子は少年である。
「変態ダ」
「変態ね」
「変態っす」
「ブヒヒィ(変態とはな)」
「ふんごー(やはり変態)」
『ま、ままま、まぁ、い、いいんじゃないかなぁ、男の子が好きなくらい』
自分の吐露した言葉に唖然とし、同時に女性はハッと気付いたようだ。
「これは……毒か、魔術か? 店主っ」
『あらー、バレちゃったのね』
バレないでか。
猫女はニヤニヤと、側近と呼ばれた女性に近寄る。
わざと隙を晒すその動きは、どうやら挑発して先制を取らせる目的らしい。
「思いもしない事を口に出させ、我々を混乱させるのが目的か」
『いいや。思った事を口にしちゃうポーションさ。随分と舐められてるねぇ、王子様は』
「……っ! 貴様ぁ」
猫女に飛びかかろうとする側近に、俺は足払い仕掛けた。
俺の不意打ちを避けられるはずも無く、つんのめって屋台へと衝突する。
頭に丼を載せつつ、側近は更に怒りで染まった瞳を俺達に向けた。
「フン。セッカクノ美人ガ台無シダ」
「私は王子を守る盾だ、女など捨てた。貴様ら、私達の任務を邪魔するか」
『敵じゃ無かったらゴメンナサイするつもりだったけど、謝る必要は無さそうだね』
「誘拐ダノ戦争ダノ、物騒ナ奴ヲ見過ゴスワケニハイカン」
女性は懐から先の細い剣、レイピアを抜き出した。
柄が極端に薄く平べったいので、隠し持つには適していそうだ。
「思った事を話す、だと? なんてものを……」
「ダガ、身内ノ怖サハ思イ知ッタヨウダナ」
「おのれぇ」
女性のレイピアが、視線と水平に構えられて放たれる。
それを俺は左右の腕で捌こうと払うが、それを見越して剣先が落ちた。
否。
肩口から肘、手首に至るまで捻りを加えて、垂直に並行移動させたのだ。
「グォッ」
レイピアの先が俺の脇腹に当たった。
顔に迫る払うべき剣先を、まさかその突き出す勢いのまま腹を狙うとは。
『ちょっとマルコ君、そんなに弱かったっけ、キミ?』
「カスッタダケダ」
「その様だな」
シュルリとしならせてレイピアを手元に戻すと、そこには血が全く付いていない。
だが皮一枚の差である。こいつ、なかなか強いかもしれないな。
「毒を入れて策謀するなど、卑怯な手しか使えないお前は、既に敗北している」
『そういうの、鞘を捨てた相手に言いな。まだマルコは刀を抜いてすらいないよ』
煽る煽る。
でも一応は倒すつもりで向かい合った以上、やられっぱなしは気に食わん。
「頑張ってよ、マルコ。私、誘拐されちゃうじゃない」
「……んんっ!? アレって、ターゲットのっ」
「隙アリ」
一瞬の視線の揺れを見て、俺はスライディングで近付く。
そこに慌ててレイピアが斜めに突出されるも、俺はそれを地面の丼で受け止めた。
先程、女性が屋台に突っ込んだ時、転がった物だ。
「しまったぁ」
「ヌゥンッ」
丼を持つ方とは、逆の手で地面を押し上げる。
スライディングの姿勢のまま宙に飛び、俺は足を側近の腹部に向けて貫かせた。
「ぐぉぉ」
だが倒れない。女性の歪む顔に向けて、更にもう片方の足で蹴りつける。
ギュッと閉じられた瞳。
直撃する寸前、俺はその足の軌道を顔から肩に変更した。
「あぅっ!」
『はいっ、勝負ありぃ』
女性は上半身の姿勢を崩され、地面に転がる。
そこに猫女が絡みついて、相手の自由を奪った。
拘束完了である。
* * *
ロープでふん縛られた自称精鋭達を、俺達はどうしたものか悩んでいた。
アレから「任務の詳細は?」「戦争とは何だ」と問うても、誰も何も言わない。
「ブヒヒィ(薬使いましょうよー)」
「駄目ダ。非人道的ナ行為ハ慎メ」
『今更だねぇ』
今更だろうとなんだろうと、どの瞬間からでも間違いは正すべきだ。
俺の目が黒いうちは、そういう行為を許されるとは思わないで欲しい。
「じゃあ川にでも流しちゃう?」
「フィーオ、ソウイウ事ヲ言ワナイヨウニ」
顔を真っ青にする幾人かとは対称的に、側近の女性は涼やかなものだ。
まるでいつでも死ぬ覚悟は出来ている、いや、任務失敗した以上は殺せとでも言いたげな顔。
俺は、彼らのロープを解いてやるように、ピッグに言った。
「えぇ? ほ、解いちゃうんですか」
「ウム」
周りが驚く中、まず俺自身の手で女性のロープを解いてやった。
それまで死を懇願する無表情だった女は、俺を睨みつける顔付きに変わる。
「情けを掛けるから、諦めて帰れとでも言うのか」
「ソウダ。断レバ、マタ捕ラエルダケダ」
『七回捕まえて、七回解放したら仲間になるとかいうウルテク?』
「ブヒヒィ(なにそのウソテク。史実にそんな話は無いっすよ)」
何時の時代にも絶えぬ不毛な論争を始める二人をほっておいて、俺は側近に話し続けた。
ヒソヒソ声で、その耳に話し掛ける。
「デナイト『えっちしてぇ』ノ件、色ンナ所ニ投書シチマウゾ」
「~~~~~っ」
声も無く無言の絶叫を上げる側近に、俺は少し心が傷んだ。
毒を使わないでも、脅迫するってのはどうなのだろうか。
「ギルティね」
「アノナァ、オマエヲ守ル為ナンダゾ、フィーオ……」
「私の責任にしないでよぅ。手段を選んだのはマルコなんだからね」
正論ではある。
が、これでお互いに戦闘を回避できるならば、俺はぜひ選んでおきたいね。
「……撤収する」
苦虫を噛み潰し、苦渋を舐めた声で絞り出された言葉。
哀れ、精鋭たちは十日に及ぶ絶食行軍の結果、何も果たせず帰ったのだった。
まぁ身内に反逆的態度の者も多かったし、それを確認できたのはアイツにとって収益かもな。
「予算ノ無駄ダナ」
「でも、なんで私を誘拐しようと思ったんだろうね」
頭にクエスチョンマークを浮かべ、フィーオは俺に話し掛ける。
アイツラ曰く「戦争回避」と言っていたが、どこまで本当か怪しいものだ。
『でも本当だったら、戦争回避のチャンスをふいにした事になるねぇ』
「じゃあマルコは戦争を引き起こした大犯罪人ね」
ケラケラ笑う少女の顔を見て、俺はぶすっと不満気な様子を隠さない。
助けた相手から犯罪者扱いである。うーむ、辛い。
「ブヒヒィ(幼女を助けた事案発生ですな。逮捕、逮捕)」
「ヤカマシイワ」
ピッグにアイアンクローを決めつつ、ぼんやりと夜空を見上げる。
やはり月は見えていない。星だけが幾つか瞬いている。
少女を守る為の戦争。
言葉にすれば清くみえるコレも、本当は『どちらの意味』で存在するのか。
だが俺の選ぶ道は一つである。
ようやく睡魔が勝ってきたのか、うつらうつら始める少女の横顔を見ながら、そう思うのだった。
第五十八話:完
チャルメラの音に惹かれて、腹の虫が鳴る夜中。
プラスチックのお椀に入った、薄いスープと茹で過ぎた麺。
常に食いたいとは思わないのに、たまに無性に懐かしくも食べたくなる思い出の中だけの味です。
それでは、楽しんでいただけたなら幸いです。ありがとうございました!
次回の投稿は、8月31日を予定しております。




