『魔法学概論A』
まえがき
古来より人類は魔法と親しみを持ってきた。紀元前、狩猟生活を行っていた人類は、投擲した槍や、弓矢の威力を高めるために魔法を用いていたとされる。この頃にはまだ、魔法学に対する体系的な理解はなされていなかったが、人類は魔法という現象を生活の一部で利用していた。
魔法学が学問として機能し始めたのは、「エンデルファース魔法学」が確立されてからだろう。それまでにも無属性の魔法に対する研究は進められてきたが、サルフィー・エンデルファースの手によって「五大元素」の概念を構築されたことにより、魔法学の研究は加速度的に進んだ。
本書では主に「エンデルファース魔法学」、また近代の魔法発動に不可欠な「呪文理論」について触れていく。
「エンデルファース魔法学」は古典魔法学の中枢を担っているものであり、現代魔法学の発展に大きく貢献してきた。特に五大元素の考えは細分化された現代魔法学のすべてに通じているので、しっかりと学習しておきたい。
「呪文理論」には大きく2つに分けると、大掛かりな準備の必要ない即時発動型と、事前にプログラムしておく指示累積型とがあるが、その根底ではしっかりとつながっているということを、本書を通して理解していただきたい。
また、本書の下巻にあたる「魔法学概論B」では、魔法反応式と現代魔法学の基礎について触れている。どちらも最先端の研究へと繋がっていくものなので、しっかりと学んでいただきたい。
最後に、魔法学を学ぶ上で大切にしていただきたいものは、「実際に手を動かし、魔法を発動し、体験する」ことである。理論を学び、知識がついても、それを実際の場で用いることができなければ意味が無い。また手を動かすことが、理論の理解を深めることの手助けにもなるだろう。
魔法学は科学と文明の進化に大きく寄与してきた。魔法学という分野は非常に身近なものであり、奥が深い。そんな神秘的な学問を学ぶ少しばかりの手助けに本書がなれることを切に願っている。