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嫌われ者の忌み色さんⅠ

作者: 榎本あきな

なんか妙に短編が書きたくなったから、自分のメモ帳のストックの中から選んで書いてみた。

でも、やっぱり3時間クオリティだから酷い出来です。

ちなみに、続きます。


それでわ↓

この国では、黒は忌まわしい色だと伝えられている。

なんでも、魔王が一番好む色だからだそうだ。

そのため、黒の色を持って生まれた子供は、大抵迫害される。


俺の村にも、そんな子が一人いる。


忌み色…と呼ばれる、本当の名前があるのに呼んで貰えない少女。

忌み色でも珍しい黒髪黒目という、両方の黒を持っている少女。

彼女には両親は早くに他界しており、本当だったら村の皆が面倒を見なければいけないのに、村の皆は怖がって近づかない。子供達も、そんな大人達の雰囲気を察してか、まったく寄り付かない。


…俺一人を除けば。


別に、俺も好きで近くにいるわけじゃない。逆に損の方が大きいと思ってる。俺まで村人に避けられるし。

でも、俺まで近くにいるのをやめたら、彼女は一人になってしまう。あの夜の闇のようにきれいな瞳が、悲しげに伏せられるのは気に食わない。彼女には笑顔が一番似合っている。それに…孤独が辛いのは、今の俺が一番しっているから。


「シュー?いるんでしょー。開けてー」


……面倒だな。開けなくていいかな。今いいところなんだ。もうすぐで読み終わるから。読み終わっても開けないと思うけど。


「シュー?聞こえてるんでしょー?開けないなら壊してはいるけど?」

「……はいはい」


俺は仕方なく読書を中断して、扉のほうへ向かう。扉を壊されたらたまったもんじゃない。俺、村人に避けられてるから扉とか一人で直さなきゃいけないのに。

ちなみに、俺の家に両親は住んでいない。母親は他界し、父親は出稼ぎに出ている。まあ、他の家の父親より帰るのが遅いから、女でも作ってんだろうけど。


しぶしぶ家の扉を開けると、そこには予想通り、黒髪黒目の活発そうな少女がいた。

……こいつのどこにそんな怖がる要素があるんだ…?俺としては、裏でこそこそ陰口とかいじめとかやってる奴の方が怖いけどな。


「あっ、シュー?また居留守しようとしたでしょ!面倒くさがらずに開けなさいって何度言ったらわかるの!!」


お前は俺のオカンか。ってか、俺はお前だから開けなかっただけだ。他の人だったら素直に開けてる。お前が俺の家に来るときは、必ず厄介ごとを招いてくるからな。


「だからー…あっ、そういえば!シュー、聞いた?今、村に旅人が来てるらしいわよ」


そういって、俺を問答無用で引きずっていく。


「いや、別にいかねぇって!俺は本が読みたいんだ!」

「その人、ナイスミドルなおじさまで、歴戦の戦士みたいでかっこいいの!憧れるわー…。私もあんな戦士になりたいの!」

「人の話を聞けぇぇーー!!」


そんな俺の抵抗も空しく、俺をずりずり引きずっていく。ってか、その細腕にどんな力が秘められてんだよ!子供といえど男だし、同い年でも俺の方が身長高いんだけど!?


それらの疑問を消化するまもなく、俺達は旅人の元へと辿り着いた。

周りには誰もいない。いや、俺達が来るまでは旅人に群がっていたけど、俺達が来たとたんクモの子を散らすように自分の家へと去っていった。避けてるのが丸わかりすぎる…。


旅人は、村人が散った後に残ったを俺達を見て、目を細めた後……頭をわしゃわしゃと撫で始めた。


「黒なんて珍しいなー。滅多にいないのに。こっちの坊主は無愛想だが、黒に付き合ってやる子なんて、珍しいなー。大抵黒は一人ぼっちなのに」


そういいながら、俺達をなで続ける旅人。横を見ると、あいつが嬉しそうに目を細めていた。

たぶん、撫でられたのは初めてなんだろうな。父親も母親も、こいつが物心ついたときにはいなかったらしいから。父親みたいな温かみに安心してるんだろ。


そのとき、後ろに殺気を感じ、俺は咄嗟に振り返った。

そこには、大口を開けた猪ぐらいの大きさのモンスター。

俺はいつも通りに焦らず袖口から短剣を取り出し、モンスターの口の中に短剣を持った手をいれ、内側から刺した。


短剣はモンスターを貫き、死んだモンスターはいつも通り、血も出さず、死体も出さすに黒い霧となって消えていった。


ちっ。まさか、真昼間から非戦闘領域の村にモンスターが沸くとは…魔王でも復活したのか?それだったら、非戦闘領域として防御力が弱いこの村は、モンスターに破られる事に納得がいくけど……。

ってか、旅人なのに咄嗟に反応できないってどういうことだよ。これに反応できなかったら、命取りだろ。でも、俺も目の前までくるまで気づけなかったし…普通なのか?わからん。


「…坊主…。お前…剣か何かを誰かから習ったことがあるのか…?」

「いや、別に。そんなこと教えてくれるお人よしなんか、この村には一人もいないよ」


俺の皮肉や嫌味をこめた言葉に、旅人は目を細め、いつの間にか遠くにいたあいつを確認すると、俺に向かってこういった。


「お前、剣を習わないか?」

「断る」


俺の即答に、旅人はポカーンとした顔をした。


「いや、え?でも、普通習いたいと思わないか?」

「思わない。そんな奴は単純馬鹿の勇者気質な奴だけだ。それに、そんな時間があったら本読んだり狩りにいったりしてる」


その言葉にまたもやポカーン。ってか、普通思わないだろ。別に剣を習わなきゃいけない状況ってわけじゃないんだから。

そう思っていると、気を取り直した旅人…もう髭のおっさんでいい?ダメか。赤いつなぎのおっさんと一緒にする奴いるかもしれないし。


「そっ、そうか…。じゃあ、俺自身が気になることなんだが、お前の性質を調べさせてくれないか?」

「ん?なんでそんなこと……。まあ、時間がないわけじゃないし、別にいいけど」


俺がそういうと、旅人は「ちょっと待ってろよな」といいながら、後ろを向いた。


「(なあ、本当にあいつが光の性質を持っているのか?どーみてもあいつ、闇の性質だろ。誰がみても光に見えないぞ。むしろ忌み色を持ってるあの子の方が光にしか見えない)」

『(いえ、光の剣の私が言うんだから確かです!あの子は光です!しかも歴代の光のもので一番力が強い!それに、忌み色のあの子の方は闇の匂いしかしません)』

「(だがなー…)」

『(とりあえず、あの子に私を握らせてください!絶対光ですから!見極め方は……わかってますよね?)』

「(はいはい。わかってますよ。やりゃいいんだろ。やりゃあ)」


なんかコソコソ言ってる。そう思って耳を澄ませようとして…旅人がいきなり振り向いた。いきなりだったから、びっくりして一歩下がってしまった。


「よし!準備できたぞ。じゃあ、この剣を握ってみてくれ」


差し出された剣は、なんの装飾もなく、スラッとしたきれいな長剣。剣の鍔の所に一つ、透明で、とても澄んだ色をしている石が嵌め込まれている。


恐る恐る剣をさわり…力をこめて握る。

結構大きくて、軽そうに見えたけど、結構ずっしり…でも、手に馴染む様な重さだった。


剣を握り、一振りする。すると、石が光り輝き、俺の視界を白く染めた。

村が白い光で染められ……誰かの感嘆の声と嬉しそうな声とともに、白い光は剣に吸い込まれていった。


白い光がなくなり、俺は無意識に閉じていた瞼を開けた。そこに見えたのは…いつもの光景。でも、一つ違うのが、さっきまで握っていた長剣が短剣に変わっていた。そして、石も透明から真っ白な色になっていた。

わけがわからずにいる俺に、旅人は興奮したように俺の肩を握って揺らした。


「おまっ、おま、お前!」

「ななななな、何いいい。って、揺らすな!しゃべれん!」

「おお、すまんすまん。だが…まさかこの目で光の性質を本当に見れるとは!いやー俺の親父は結局見れないまま死んじまったからなー」

「……どういうこと?」


結局見れないまま死んだって…もしかして、光の性質の奴を探してたって事?


「ああ、言い忘れてた。俺は、レイボル・ロシュリ。光の剣を守り、光の性質のものを探し、光の性質の奴を立派な勇者にするために神によってその使命を与えられた…光の番人の家のものだ」


光の番人…。文献でしか見たことがないが、確か、初代勇者を育て上げたのが光の番人と呼ばれた、絶対の強度を持った防御魔法を使う人だったような…。その人の末裔ってことか?神によって使命を与えられたってのも気になるけど…光の性質のものを立派に育てて勇者にするって…いわゆる、俺が勇者だってことか?


「…ということは、あの子が闇の性質のものか…」

「あいつが…闇の性質…?俺と敵……ってことになるのか?」

「いや、正確には敵じゃないが…それにしても、あんまり驚かないな?」

「俺が勇者?ってのには驚いたけど…あいつはそうじゃないかと思ってた。俺は…見たから」


あいつが、暗闇の中、何かと話しているのを。


それを見たのは、ちょうど俺が狩りから帰るころだった。

その日は狩りをしている最中にモンスターが襲ってきて、その対応に追われて帰りが遅くなった。

遅くなるともっとモンスターが出てきて面倒なことになるから、俺は近道を使うことにした。

その近道は、ちょうどあいつの家の裏の道が見える所に通っていた。


そのときに見たんだ。

裏口を開け、何かと話しているあいつ。

周りは家の明かりで明るいはずなのに、そこの部分だけ異様に暗くて…そして、何かを話していた。

何を話していたのかはよくわからなかった。ただ、その黒い奴が『闇の勇者』と言っているのだけ聞き取れた。


「……俺は、あいつが何か…『闇』と接してるって知ってたから。…でも、俺は光の性質は持っていても、あいつの敵にはならない。俺は……孤独でいるあいつの思いを一番知っているから…」


俺は、そう呟く。俺だけは敵にならない。俺だけは…あいつを避けない。

…俺、いつからこんな奴になったんだろ。昔は本ばっか読んでて、誰が俺をなんと言おうと、自分独りだろうと気にしない奴だったのにな…。あいつと会ってから。俺が変わったの。

そう思いをはせる俺に、旅人はこういった。


「…お前は何か勘違いをしているようだな」

「え?」

「お前とあの子は、別に、敵でもなんでもない。むしろ、共闘することになる。なんせ、光と闇は一心同体だからな」

「…でも、闇ってのは魔王とかになることの奴じゃあ…」

「それは、闇の性質を持つ奴が光の奴と世界を巻き込んだ喧嘩をしたときだ」


……ハァ?喧嘩?喧嘩で世界滅亡までいくの?…おかしくね?


「もともと、光と闇のものが生まれるのは、世界の修正役として世界が送り込むものなんだ。その二人は、一緒にいないと世界のバランスが崩れてしまう。まあ、その力を使い、世界を無事修正したら一緒にいなくても大丈夫なんだがな」

「…ということは、元々一緒にいることが多いって事か?」

「ああ。前回の勇者は、親友同士、その前は恋人同士だったからな。初代勇者も悪友同士だったらしいからな。まあ、力を使って喧嘩したから、周りからは仲が悪いと。そして、後に二人が酔って『闇のこいつは魔王。光の俺は勇者だな』とか言ったことによって、周りの人が本気にして、魔王と勇者、そして、闇のものが黒が好きだったことから、黒は忌み色。と言われるようになったんだ」


ようする、魔王と勇者ってのは本当は世界の修正役で、二人で共闘して世界を修正しなきゃならないってことか?

…俺は、あいつの敵じゃ……ないのか?


「大丈夫。お前は、あの子を傷つける存在には絶対ならないよ。…喧嘩で世界を滅ぼしかけるかもしれないけど」

「…まあ、それがわかっただけでもよかったよ。さて、じゃあ、どこから始めるんだ?」

「…え?何が?」

「…お前からいったんだろ。剣を習うか?って。世界の修正役なんだから、俺に拒否権はないだろ」


呆れたような微妙な顔をする旅人。まあ、思ってることは大体想像つくけど。

俺が子供らしくないとでも思ったんだろうな。まあ、あいつにも大人びてるとか言われたし。

俺的には、あいつの方が大人びてると思うんだけどな。


「……まあ、いっか。じゃあ、お前に剣を教える。ただし、あの子には言うなよ」

「理由が気になるけど…あいつもこっちに来てるみたいだし、あとで聞くよ」

「ああ。そうしてくれ。あっ、後、お前の家に泊まるから」

「…………ハァ?」


なんか、旅人のおっさん…レイボルが俺の家に泊まることになった。

ちなみに、それを聞いたあいつがとてつもなく喜んだのは当たり前だ。

シューロ・レイラ 男


光の性質を持つ、面倒くさがりやの少年。

母はシューロが五歳のときに他界。父は出稼ぎに出ている。しかし、いつまでたっても帰ってこないので、たぶん女でも作ってるだろうとシューロは思っている。忌み色のことは黒髪黒目という珍しい色をもっているので興味がある。夜みたいできれいな色だと思い、差別はしていない。逆に差別めんどい。忌み色自身は、活発でうるさい奴だと思っている。お前の孤独は知ってるけど、扉壊すのマジやめて。

本好き。狩りが得意。基本的自給自足。


忌み色/アリア 女


闇の性質をもっている、活発な少女。

両親ともにアリアが物心ついたときに亡くなっている。名前は、母の手紙に本当に信頼できる人にだけ教えなさいと書かれていたため、教えていない。けど、シューだけはいいかなと思っている。差別しないシューロにlike的な意味で好意を持っている。孤独が嫌いなため、シューに迷惑かけたくないけど、ついつい加減がわからなくて迷惑をかけてしまう。そんな自分が嫌い。そういや、なんか私を闇の勇者とか言う変な暗闇が時々来るけど、何ナノあれ?

運動好き。寂しがりや。実は転生者。


レイボル・ロシュリ 男


光の番人で、(アリアいわく)ナイスミドルなおじ様

初代光の勇者が生まれる前から神に番人として役目を与えられていたものの末裔。光の勇者を育て、光の剣を守り、光の性質のものを探す役目をもっている。

番人といっても、それは防御魔法が得意だからそういわれているだけで、正確には、光の導き手という。しかし、それを知る者は神しかいない。ちなみに、闇の番人もいるみたいだが、本人も会ったことはない。あの無愛想な少年を教えるのか……。できれば忌み色の子の方が楽そうなんだが…。

酒が好き。戦闘が得意。この国の都市に妻とシューより少し下の息子と娘がいる。


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