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作者: katuron

~遠くで寺の鐘の音が聴こえている。~


  【 壁 】

         ・・・人には瞼が二つあると云う

重い瞼を開く

真っ白い靄に包まれている...

二つ目の瞼を押し開き 足を踏み出す


二歩 三歩 と 進む      壁がある。

五歩 六歩 と 下がる     壁がある。

朦朧とする脳 右によろめく 意思と裏腹に差し出す右手

七歩 八歩 と タタタ      壁がある。

        ・・・楳図かずお・・・神の左手悪魔の右手ってあったな

左を見る 真っ白い靄の向こうに感じる。

どうせあるんだろ        壁。

天を仰ぐ 見えないが 届きもしない


腹が空いたな こんなときでも 

手をあてる と 大きなポケット まさか 四次元ポケット

        ・・・なんでも出せる なんでも可能という

釘を取り出す 握りしめて  傷一つつかない

金槌を取り出す 跳ねされかえて指を打つ

ハンマーをツルハシを電動のこぎりを砕石ドリルを

音を失ったかのように 沈黙する

ラジウム塊を投げつける。 鉛が含有してるのか

誰にも気付かれない。

異次元にあるかのように   壁。

ドコでもドアが! 開く!    壁。

疲れ果て 腕も上がらない 前のめりに 倒れこむ

停止し塊のような脳 眼前に迫り来るゆく床。


『 壁か~~    なんだっけ壁って 』


たたきつけられようとする脳   その間際  落ちてゆく体


空気の抵抗を受け ふわりと降り立つ

土の柔らかさ   くるぶしまで埋まる


見渡す限り何もない   風が吹いている。 

見上げると空がある   雲が流れている。

4次元ポケットはない  へそが揺れている。


はたして存在してたのか     壁。

あの左手に そして床にも    壁。

いまとなっては どうでもいい  壁。


とりあえず  歩き出す あの鐘の下へ

今度は 自分で つくために。


           ・終・

初めて書いたショートショートです

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