3.乙女は恋に生きるべし
やっぱアレでしょ?恋愛の1番のお手本は、身近な人の恋でしょ?
「というワケで、アユミ、恋してマスかぁー」
アタシのいきなりの質問に、アユミは目をパチパチとさせた。
「…は?今度は何考えてんの、サナ」
「恋してマスかぁー」
「しっかりしてよ、サナ」
とうとうアユミに呆れ顔をされた。ちょっとしつこかったかな?
「アタシは大丈夫だよっ。それよか、アタシ恋したいんだってば」
とにかくペースを戻そうとこう返すと、アユミはますます呆れ顔をした。
「昨日もそんな事言ってた」
「乙女は恋に生きる生き物だモン」
ちょっと可愛いフリ付きで言ってみる。
とにかく、昨日みたいにダメ人間にならないように精一杯恋したいのだ。
「へぇー、サナみたいな女も恋するんだ」
「そりゃぁーそうだよ…って、ヒロ!」
いつからいたのやら、後ろにヒロが立っていた。
「お、乙女の神聖な恋話に入ってこないでよっ」
反論するアタシを無視して、ヒロは
「乙女は恋に生きる生き物だモン、だってサ…」
と、アタシの真似をしてからかう。
もう、だからヒロみたいな奴は嫌い…。
「サナって、女子の中で1番『恋』とか『愛』って言葉似合わねぇよなー」
「うるっさいなぁ。アタシだって一応女の子なんだからね。恋くらい…って、そうだ。ヒロ、好きな人いる?」
「へ?何今の切り返し」
「アタシの恋の参考にさせてちょうだいな」
ヒロはにへらっと笑って、
「参考になんねぇと思うけど?」
「いいよー。てか、いるの?」
「いるいる。すっげぇ好きな子」
ふぅん…もう好きな人が新しく出来たんだ…。いいな、立ち直り早くて。
「誰?クラスの女子?」
「それは言わない」
「えぇーっ、それじゃ参考になんないよ」
周りからも、ブーイングが飛ぶ。ここまで来て言わないのは反則(何の反則だか知らないけれど)なのだ。
「だって…絶対俺嫌われてるし。叶わない恋を口に出すようなマネはしないぜ…ふっ」
「…ふっ、じゃない。すっごい気になる。めっちゃ気になる」
アタシが追求すると、ヒロはぱっと何かを思いついたように明るい表情を見せた。
「サナにも好きな人が出来たら教えてやる。その代わり、サナの好きな人も教える事…ってのはどう?」
「交換条件、て事?」
「そゆこと」
悪くないじゃないか。ヒロの好きな人も気になるし…。
「アタシ乗った」
「へっへー、早く好きな奴作れよ」
言われずとも、そうするつもり満々。
よぉーし、今日からアタシの本気モードの恋をしてやろうじゃないの。
もうほとんど妄想です、心境なんかは。皆様、どんどんダメ出しお願いします!