驚きの身体
朝が来た。肌寒い冷気に身を震わせボロ布から身を起す。
まだ夜は明けず周りは薄暗い。
私が目覚めたのに気が付いたのか、馬の1頭がブルブルと鼻息を立てながらこちらを見る。
ランだ。私が仕える事に成ったローラン家には、3頭の馬が飼われている。
その厩に先日引っ越して着たのが私である。
自分が馬並みの待遇かと思うと泣けてくるので考えるのは止めよう。
私が奴隷として仕える様に成った家は、鬼族衆議国のローラン準男爵家と言うらしい。仰々しい名前である。
鬼族衆議国は文字道理、鬼達が貴族議会制で運営している国家だという。
鬼と言っても人間をバリバリ食べる種族では無いと聞き安心した。
角が在って身体能力が高く人間よりも魔術にも長ける、見た目は人族に角が生えた程度で余り違いは感じない。
と言うのも昨日、遠目にローラン家の鬼を見たが違いは良く解らなかったのだ。
角も小さい様で遠目には確認出来なかった。
さて、早くに起きた私だがどうも達人の力を貰った性か、無性に体がウズウズする。
仕方が無いので厩の裏のチョットした広場で身体を動かす事にした。
記憶と言うか頭に浮かぶ訓練のイメージを再現・・・
軽く柔軟をしてから・・・ って!メッチャ体が柔らかい! 面白!?
気が付いたら只管に柔軟したり飛び跳ねたりしてた!
この体は凄い! オリンピックの器械体操や新体操で見たウロ覚えの技が面白いように出来る!
自分では出来てるつもりでも、傍目に見たら痛い盆踊りカモシレナイデスケドネ。
運動をしてたらこの体ってどんな感じなの?って、疑問が浮かんだ。
今まで全然違和感が無かったけど達人さんの体なのだろうか?
昨日はマーサさんに追い立てられる様に仕事してたから、この体の全体像とか確認してないんだよね。
疑問に思って庭のお池にダッシュ!
おっかなびっくり池をのぞいて見ると・・・ なんと凛々しい13歳位の・・・誰だ?
手を上げると池の影も手を上げる。私だ・・・ 何か中学生時代の面影も在るけど・・・
妙に体が引き締まってる分 凛々しさ100倍? イケメンとは言えないまでも悪くないんじゃないか?
って、池に向かってポーズポーズ
ジャリ・・
ん?後ろから誰か着たかな?っと、後ろを振り返ると・・・
「タケル 何してるの・・・?」
何か痛い子を見つけたって顔で、メイドのリズさんが引き攣った顔でコチラを見てました・・・
「いえ、お魚さんを・・・ その・・驚かして・・・ みたり?ですか?」
「はいはい 馬鹿な事やってるとまたマーサさんに叱られるよ
もう良い時間だから早く庭の掃除でも始めなさい ご飯が出来たら呼んであげるからしっかりね」
リズさんに言われて周りを見ると、それなりに明るくなってた。
運動して遊んでる間に結構時間が経ってたのね・・・
今日も一日頑張らねば。