目覚めの時間
声がする 遠くで、近くで、誰かの声が・・・
「起きて・・・ 起きてよ・・・ 」
誰の声か解らないまま、私の意識はゆっくりと覚醒を始める・・・
「マーサさん この子 起きないよ~? どうしよ・・・」
「何言ってるんだい! 情け無いね この子は・・・ その為の棒だろ!? 引っ叩いておやり!」
「え~? 怖いよ 起きて暴れたら如何するんですか~?」
情け無い声で返事をする女の声を聞きながら、目を開けて考える。
何が如何なって? ココは・・・?
「お貸し! 私が引っ叩いて叩き起こすから、よ~く見ておくんだよ!」
ドスドスと何かが近づく気配に、危険を悟り飛び起きる!
「お おはようございます!」
棒を女性から奪い取り、振り上げたご婦人に急いでご挨拶!
「ようやく起きたね。坊主 さっさと起きてコッチに着な!」
「はい!」
「ソッチじゃないよ!コッチだ! そこの井戸で水を汲んでとっとと顔を洗いな!
グズグズしてると飯抜きだよ! まったく! 明日から寝惚けてたら叩き起こすからね!」
「はい! すいません!」
まったく意味が解らないまま、50歳前後と思われるご婦人に追い立てられる様に指示に従っていた。
パワフル過ぎて何も反抗できないまま、従順で勤勉な日本人を地で行く私は一日中命令に従ったのだった。
その夜
「今日はもういいよ。 中々やるじゃないか坊主! その調子で頑張りな!」
バチン!っと私の背中を叩く上機嫌なご婦人・・・
メイド長のマーサさんに許可を得てやっと自由に成り現状を整理する。
どうも私は奴隷らしい・・・ 記憶や知識から今の状況の経緯を探ると。
どうも、5の願いをあの少女は理解出来て無かったらしい。
戸籍代わりの身分の証明、その証は私の首に付けられた奴隷の首輪
そして、奴隷に優しいご主人様を見つけて其の下に就職させて下さったらしい。
正直泣きそうである。いや、正直泣いたけどね・・・
素手なら最強レベルらしいので、反抗して出て行く事も考えたが・・・
逃亡奴隷として生きる事を考えると、生きて行ける自信が無いので却下した。
泣きそうだが寝床として与えられた厩の隅で、ボロっちい布に包まり今日は寝よう。
明日は良い日で在ります様に・・・