神域
目の前に広がる白い空間に唖然としていたら、目の前の少女の背が小刻みに揺れ
「クックック 気に成っていた続きを手に入れたぞ!
あの世界の書物は中々に面白い。
我の世界も、もう少し娯楽とやらの発展を促さねば・・な・・・?」
嬉しそうに本屋の袋からラノベを取り出し、悦に浸っていた少女が振り返る。
「なんじゃ貴様は!? 何処から入った!?」
「えっと・・・その・・ココは何処でしょうか?
確か本屋から出て、駅前の大通りを歩いていた筈なのですが?」
「もしかして、本屋からずっと我に付いて着たのかや?」
引きつった顔で後ずさりながら、小難しい言葉使いの少女が尋ね
「人をストーカーの様に言わないで下さい。
で、ココは何処なのでしょうか?
帰る道と言うか、出口を教えて頂きたいのですが?」
イキナリの変質者扱いに、気分が凹む。ストーカー扱いかよ・・・
少女は、引きつった顔のまま目を泳がせ、こちらを見ようとし無い・・・
口からは、「ヤバイ」「どうしよう?」等の言葉が小さく漏れ、プチパニック状態である。
私は営業スマイルで警戒心を解く努力をして、再度尋ねてみる。
「えっとですね。お嬢さん。申し訳ないのですけど、私はストーカーでは無いのです。
本当に変質者とかでは無いですし、出口さえ教えて頂ければ、直ぐに目の前から消えますから。
落ち着いて下さい。 もう一度聞きますよ? 出口は何処ですか?」
正直、変質者認定された挙句、怯えられてる様で泣きたく成ってきた。
しかし、すぐさまココから逃げねば、下手に悲鳴を上げられ通報でもされれば人生が詰む気がして成らない。
私が、そんな心配をしていると少し落ち着いた様子の少女が口を開いた。
「ここは神域と言ってな、世界の外側に位置する神々の座じゃ
故にそなたが在るべき場所ではない。」
っと、何か痛い言葉を返してきた。
この子は、ラノベの読み過ぎで頭が緩んでしまったのか?っと心配していると。
「失礼な事を考えるでない!其の証拠にそなたの体を良く見るが良い。
すでに神域に侵され足元から透けてきて居るではないか。」
は?その言葉を理解できないまま足元を見てみると・・・
「なんじゃこりゃーーーー!!???」
「五月蝿い!黙るが良い!」
パニックで何も考えられない私に、目の前の少女が何を唱えた瞬間、視界が閉じたのだった。