表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

−デジャヴュ−

たびたび 尊 を見かけるようになったが 彼に話しかけることは できずにいた。


そんなある日の午後、私の働く 整形外科に 尊が 患者として やってきた。


彼の姿を見たとき、慌てて奥に 隠れてしまった。

胸の 高鳴りが 抑えられない。


まるで 彼と付き合っていた 中学や 高校のころに戻ったようだ。



「どうしたの?」

同僚の看護師の奈緒子が不思議そうに聞く。

「元カレなの。」

「え?! あの作業着の背の高い人?」

「うん。」

「かっこいいじゃん。なに照れてるの? 処置室担当 代わってあげる。」

「いいよ。」

「まあ いいから」



彼女は ニヤニヤしながら「前沢さ〜ん。」

と 彼の名前を呼び、診察室へ 案内する。


私は 隣の処置室で 医師と彼の会話に 聞き耳を立てた。


懐かしい 尊 の声・・・。


どうしよう・・・。


こっちに 来てほしいけど、来ないで。



「骨には 異常がないようです。軽い処置したら もう いいです。」

「はい お世話になりました。」


診察が 終わった。


奈緒子は また ニヤニヤして、

「前沢さん 処置室にどうぞ。・・包帯お願いしま〜す」


彼が 入って きた・・。


「あ・・・」


彼は 私に 気づいた。


「お久しぶり・・です」


「看護師さんに なったんだ」


「うん。あ、どうぞ、座って」


彼は 椅子に 腰掛け、腫れた 左手の指を 差し出した。

指輪は なかった・・・。

なぜかほっとする私。


「仕事で 挟んじゃって・・・一歩間違ったら 切断してたかもしれない。これぐらいでよかったよ。」

「そうだね。」


彼の手にシップを巻く手が振るえそうになる。


「名字 変わった・・ね」

「うん もう 子供小学生だよ。」

「え? そんなになるの?」


彼の手を触るのは 何年ぶりだろう。昔 手をつないで 歩いたっけ。野球をがんばっていたから マメだらけの 固い手の平だった。



私は ふと 不思議な 感覚を 覚える。


「あれ? こんなこと 昔にもあったっけ?」



「あったかな?そんな気もする」


私たちは 笑った。



「はい、 お大事に。」

「ありがとう。 近くで働いてるんだ。またな。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ