−再会−
《 プロローグ 》
それは 突然だった。
平凡だが 多忙な毎日を繰り返し、それが 当たり前のように 思っていた日々。
彼にまた 出会えたことで、何か その流れが 変わっていく そんな予感。
ほんのり 蘇るあの頃の思いを抱えながら 何もできないでいる。
彼との再会は 偶然?運命?それとも 輪廻 ・・・。
私は その日も いつものように 小学生の子供たちと 主人を 送りだし、忙しく 仕事に向かった。
忙しくも 幸せな日々。
悩みといえば 自分のことでなく 子供たちのこと。
結婚してからは 自分の名前より 主人の名前を書くことのほうが 増えた。
結婚して十年。
子供たちの手も離れ、私は看護師のパートとして働き始めた。
大学を出て すぐに結婚して、周囲からは 若いお母さんね。とは 言われるが、仕事先の 独身の看護師たちをみていると、もう少し、遊んでおけばよかったと 後悔することもある。
恋愛は多少はしてきたつもりだが、今の彼女らのように 携帯やメールを駆使した恋愛は 私には到底ついていけない。
彼を見たのは 平凡な一日の昼下がり。
私の働く医院と同じ通りに この間まで 貸店舗だったところが 何かの会社になっていた。
医院では 看護師たちが 新しく入った その会社はイケメンが多いと うわさしていた。
仕事が終わり、その会社の前に 差し掛かった 私は ちょうど 出入り口から出てきた 『彼』を見た。
『彼』に会うのは 15年ぶり、いや もっと かもしれない。
二年間付き合って 高校生の頃に 泣く泣く 別れてそれ以来だった。
後ろ姿だけだったが 私にはわかる。
一番多感な時期に ずっと見つめてきた 人だったから・・・。
彼の名前は 前沢 尊。
彼は 私に 気がついた だろうか・・・。
その日から いつもの日々に 彼に対する 懐かしい恋心が 加わる。
HYの 『366日』を聴いて涙してみたり、彼と昔一緒に聴いた 曲を ダウンロードして 聴いてみたり・・・
でも ただ 昔を 懐かしむだけの一人よがりにすぎなかった。
そして 私は 頻繁に ある夢を 見るようになる・・・・・




