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6話 パーフェスト祭にて

異世界恋愛の日間に112位でランキング載ってたみたいです…本当にありがとうごさいます!!!!!

「オリエン〜来たよ〜」


玄関から男の声がする。俺はため息をつくとカーテンを急いで閉めた。

なんでか、それは声の主がグレイデンだからだ。本当に彼奴暇なのか?と思いたくなるほどグレイデンはあれから家に来るようになった。

数えてはいないが、1週間に3回くらい。ストーカーかよ…。

母さんは俺の検診に来ていると信じ切っているし、打つ手がない。だが今日は母さんがいないから居留守ができる。だから、俺は足音を立てないように動かずに、帰れと念じ続けた。だが…


「あれ!!グレイデンさんだ!!」


外からエリックの声が響いた。

最悪だ、本当に…。エリックは母さんの友達の子供、一家の付き合いだ。つまり、合鍵を持っている。ということは…


「え!!オリエンに用なのか!!

俺も用があるんだ!じゃあ家で待ってようぜ!!」


ほらな


エリックの無駄に大きい声が響き、俺は膝から崩れ落ちた。エリックは良く言えば誰にでもフレンドリー、そして悪く言えば警戒心が欠如している。

そいつは変態だ、俺の家にお願いだから入れないでくれ…。そう願っても母さん同様に完璧にグレイデンを信じているエリックは、こうやってグレイデンを俺の家に入れることが多々ある。

本当親の顔が見てみたい、見たことあるけど。


「おじゃましま〜す」


グレイデンの声が外ではなく家の中から聞こえてくる。ゲームオーバーだ…。階段を登る音が瞬時に響き俺は一筋の涙を流した。

今日も駄目だった。ガチャ、扉がムカつくほど軽快に開く。


「あれー、オリエン居るじゃん」


わかっていただろうにグレイデンは、まさかいるとは思わなかったと続けて言った。本当にわざとらしい。

世界一の僧侶ってもっと忙しいものじゃないのか???こんな暇人でいいのか?いやよくない、世界の人々よ此奴に仕事の山を送ってくれ。


「無視すんなって」


黙って目を瞑っていれば、グレイデンが肩を組んできた。初めて治癒しに来た時も思ったが、距離が近い。


「はは、お帰りくださいクソ野郎」


「いきなり喜ばさないでよぉ…」


「しね」


軽口を叩いているとエリックも階段を登ってきた、声が聞こえたのだろう。


「オリエン!居たなら返事しろよー!」


俺の顔を見れば人懐っこい笑みを浮かべながら背中をベジベジ叩いてくる。


「ははは、今起きたんだ」


太陽がもう真上にあるのだからそんなわけない。だがエリックならこれで信じるだろう。それだけの信頼がエリックにはある。


「そうか!ならしょうがないな!!」


ほらな


「てかお前ら何のようだよ」


グーーーーー。

諦めて口を開いた瞬間、エリックの腹から豪快な音が鳴り響いた。


「おなかすいた…」


◇◇◇◇


どうせ居座るつもりなのは、わかりきっている。俺はお腹すいたと煩く言われてはかなわないので、リビングに降りると適当にパンにジャムを塗った物を二人の前に出してやった。


「ありがとうオリエン!!」


エリックは両腕を上げ喜んだ。朝飯くらい食ってから来ればいいのに。そうも思ったが、エリックは脳と筋肉がそのまま繋がっているような人間、俺の家に来たいと思えばそれ以外のことは考えずに突っ走ってくる、いつものことだ。


『好感度+1 現在の好感度92』


ちゃっかり餌付けされてやがる。それが可笑しくて俺はつい微笑みがこぼれた。まぁ、ここ一ヶ月で好感度がどんどん上がって90台になったのは笑えないが。


「……」


それよりも、何故かさっきからグレイデンが黙っている。何でだ?


「腹空いてなかったか?」


食べる手を止めないエリックとは対照的に全く手を付けないグレイデンに問いかける。


「いや…なんか勿体ないなぁて」


しかし返ってきた言葉は意味がわからなかった。まぁ、此奴が意味がわからないのは何時ものことだが。


「何言ってんだよ…無くなったらまた作ればいいだろ」


作ると言ってもパンを切ってジャムを塗るだけ、三分くらいで作り終わる。


『好感度+1 現在の好感度93』


此奴もかよ。


「パン食べるの久しぶりだなぁ」


グレイデンはパンを一口食べるとニヤリと笑った。


「質素な飯で悪うございましたね」


なんだよ嫌味か?いつもは捧げ物料理でも食ってんのか?美味そうなの食いやがって。

睨めばグレイデンは嬉しそうにまた笑う、やっぱり変態だ。

二人の好感度を見て思うことが一つある。二人とも簡単に好感度が上がりすぎじゃないだろうか、これが乙女ゲームならヌルゲー過ぎて飽きられるぞ。正直エリアスの好感度以外は下げなくても別にいい。だから最近は特に気にしていなかったが、これだけ高くなると不気味まである。それにグレイデンの好感度は個人的に下げたい、普通に。


「用事ないなら早く帰れよ」


多分意味はないが好感度が下がれば良いと思い、ぶっきらぼうに言ってみる。でもやっぱり頭上の好感度メーターは全く動いていない。

もしかして好感度って下がりにくいのか…?そういえば下がったところを見たことがない。


「俺は用事あるぞ!!」


かなりの量があったパンを全て食べ尽くしたエリックが机を叩く。


「オリエン、今年こそパーフェスト祭一緒に行こうぜ!!!」


「…パーフェスト祭か」


パーフェスト祭それは年に一度女神パーフェストを信仰するため開かれる祭りだ。主要な教会の周辺で行われるため田舎で教会のない俺たちはわざわざギフトの授与式でも行った大国、アルシア王国まで行かなければならない。面倒だから俺はいつも断っていた、今回も同様の理由で行く気はない。


「え、オリエンもパーフェスト祭来るの?実は俺、教祖としてアルシア王国の教会で仕事しなくちゃいけなくてさぁ、顔見せに来てよ」


さらに今のグレイデンの言葉で100%無しになった。わざわざ行くはずがない俺は家でぬくぬくさせてもらうぜ!!


「いやー、行かな……っ」


いや、待て……何が大切なことを忘れている気がする、そう思って口を閉じる。


パーフェスト祭…………あ。


パーフェスト祭って、エリアスとマチルダちゃんが初めて会うイベントだ。そして、そこには悪役として俺もいたはず。寸前のところで思い出した自分を褒めてやりたい。ストーリーが変わってしまうところだった。

確かパーフェスト祭ではオリエンに虐められて祭りから離れた場所に置き去りにされたエリアスが噴水で涙を流すマチルダちゃんと出会うんだ。

そこで出てくる幼いマチルダちゃんはすごく可愛かった…ロリコンではないが、何度もその場面を見返したのを覚えている。

マチルダちゃんに関する場面なら全て覚えている、転生チートといったところだろう。それ以外はほとんど覚えていないが。


「っ行く、エリック今年は俺も行くぞ!!!!」


俺はその場で立ち上がり強く言い放った。やっと、やっと俺の大大大大好きなマチルダちゃんに会える!!!そう思うと、しばらくは胸のワクワクが収まりそうに無い。


◇◇◇◇


俺とエリック、そしてエリアスは馬車に揺られていた。何故か、それは俺の推し!!マチルダちゃんに会うためだ!!

今日という日のために俺は凄く頑張った。マチルダちゃんが何処にいたかなど覚えているところを、全て紙にメモをして、物語がちゃんと進むように乗り気じゃないエリアスも誘って、何故かそれに嫌な顔するエリックを説得して…

色々あったが今はそんなことどうでもいい、本当に楽しみだ!!


「オリエン凄い笑顔だね」


「そりゃパーフェスト祭だからな!」


隣に座るエリアスがフードを深く被りながらそう言う。なんでもギフト付与式でアルシア王国に行った時に、髪色や目の色で目立ってしまったらしい。元日本人からしてみればとても綺麗な黒髪だと思うのだが。

…まぁそれを言ったら好感度が上がりそうだから言わないけど、俺は学んだのだ。


「いっぱい出店があるぞ!!経験者の俺を頼りにしてくれ!!」


向かいに座るエリックが自分の胸をどんっと叩く。確かに俺とエリアスは今年が初参加だからわからないことが多い、エリックだと心配な気もするが頼ることも多いだろう。

例えばシーダ噴水の場所を教えてもらったりとか…。

シーダ噴水はマチルダちゃんがストーリーで真白な髪を魔女のようだと揶揄われ泣いている場所だ。普通に考えてシルクのように純白の髪を魔女の白髪とか言うクソガキは居るはずないが、漫画だからな、本当にいたらそいつの目は腐っている。


「あ、そろそろ着きそうだね」


エリアスが口を開き、外を見る。確かにアルシア王国の大きな門が小さく見えてきた。

大きな教会の鐘がゴォーンと響き渡る。この音も、この風景もギフト付与式以来だ。


「楽しみだな!!エリアス、エリック!!」


「うん…」  

「おう!」


待っててねマチルダちゃん!!!俺が助けてあげるからぁ!!!!

そんな言葉を心のなかで叫ぶ。しかし直ぐにマチルダちゃんに会えるわけではない、検問をすませれば馬車は今日泊まる宿の前までゆっくりと進んだ。俺達が住んでいるググレ村とは比べ物にならないほど街は発展していて、観葉植物や、出店が並ぶ広場など街を観ているだけで楽しめる。


「今日は泊まって明日がパーフェスト祭だよな?」


「あぁ、今日は街でも見て回ろうぜ!」


俺が聞くとエリックが答える。その間エリアスは馬車の陰になるところで深く被っていたフードを更に深く被り直した。せっかくのイケメンが勿体ないと思うが俺は今回も口をつむぐ、好感度が上がるからだ。100以上があるのかはわからないが、褒めるのは多分よしたほうがいいだろう。


「エリアスも来るだろ?」


暗い顔をするエリアスに聞く。しかし、さらに下を向いてしまった。


「今日は風が強いし僕は宿で待ってるよ…オリエンは楽しんできて」


ググレ村でも俺の家にいる時以外は外見を気にしているが、ここまでとは思わなかった。思い出してみればエリアスと外で遊ぶことはそこまでなかったかもしれない。人によっぽど自分の黒を見られたくないのだろう。


「じゃあ美味いお土産買ってやるよ!!」


エリックがニカッと笑う。エリアスとエリックも最近では険悪に話すことも減って、とても嬉しい、喧嘩に挟まれるとどうしていいかわからなくなってしまう。


「エリックはオリエンにあんまベタベタしないでね」


「はっ?」


あぁ、そんなことなかった。全然睨み合ってる、やめてくれぇ…。

この言い合いは結局宿に着くまで終わらなかった。お前のほうがベタベタしてるだろとか、俺のほうがオリエンを知ってるーとか、本当何を張り合っているんだ。これは子供ならではの喧嘩なのだろうか…俺にはちょっとわかりそうにない。

そんな事はあったが、宿はグレイデンが用意した場所で、物凄く豪華な造りをしていた。木造やレンガの建物ではなく、教会などに使われる天然石で壁や床ができていて、どれだけ金がかかってるのか気になるぐらいだ。


「伊達に司祭やってないな…」


宿というか前世の世界のホテルのようだ。でもこれならお留守番のエリアスも楽しめるだろう。

俺達の部屋に案内されるとエリックとエリアスも目を輝かせていた。部屋の中は女神パーフェストを思わせるような赤い絨毯や華美な装飾の赤いカーテンが印象的で俺は少し顔を歪ませた、

やっぱりパーフェストは嫌いだ、あの傲慢な感じ本当に鼻につく。何が好感度50じゃないと死ぬだっ!!鬼畜すぎるだろ!!!


「わぁ、オリエンみたい」


「何がだ?」


目を細めているとエリアスが突然変なことを言い出した。


「オリエンの髪みたいな綺麗な赤い色でしょ?」


当然のように答えるエリアスについ顔がカッと赤くなる。

な、なんだこの口説き文句は!!そんなこと言う子に育てた覚えはありません!!!


「オリエン…?どうしたの?」


俺が突然そっぽを向いたせいでエリアスが困惑してしまった。


「いや…なんでも」


幼いベビーフェイスを傾けるエリアスは本当に可愛い。やっぱりエリアスは弟にしたい。

こんな子を虐める予定とかありえないぞ!!本当に!!!!

ても…虐めないと死ぬんだよなぁ………。

この事を考えると暗くなる、せっかくのパーフェスト祭なのだからこんなこと考えたくない。終わったらまた考えればいいのだ。


「オリエン!!早く遊び行こうぜ!!!」


エリックが部屋の中を走り回ったあと俺に突撃する。その勢いで俺の身体が少し傾いた。エリックはいつも何も考えてなさそうで羨ましい。俺も此奴みたいに単純に生きられればなぁ、なんて考えてしまう。


「そうだなー、飯でもとりあえず買ってくるか」


「おう!!」


耳元で元気に叫ばれ鼓膜が振動する、うるさい。


「耳元ででかい声出すなよ…」


「あ、悪い悪い!!」


「その声がでけぇんだよ!」


ツッコむとエリックは悪びれないで笑う。その顔を見れば少し重くなった心がフッと軽くなった。やっぱり深く考えるべきじゃないな


「エリアスは何食べたいとかあるか?

買ってくるぞ」


「僕は…サンドイッチ食べたい」


聞けばエリアスが少し考え後に言う。


「おっけー、じゃあ少し出てくるな!」


「うん、いってらっしゃい」


エリアスに見送られ俺とエリックは宿を後にした。


オリエン、君がヒロイン(?)なんだよ。これだからノンケは…


次回マチルダとの出会い…!!

最後まで読んでくださりありがとうございます!!

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