考える夜
花火があがった
きれいだった
ありふれた一過性の感傷ではない
高次の感性からもっと研究的に感動した
花火はまるで
コンパクトな思考回路
かろやかな要約
はずむようなレスポンスのR
―これはすごい
そのプロセスは
ペン画のタッチで上昇し
幾何学を表示させ
アスタリスクマークで鳥のように飛び去る
―抽象化がうまい
ただし
わたしの脳内は混沌としている
近頃わたしは
もうれつに詩をかくことを夢見て、
餓死を予感するくらいに推敲、
頭がもうろうとして活字をなんども吐く。受け付けない
一度手を付けて捨てたテーマは
ぐちゃぐちゃに混ぜたカレーライスみたいで食わず嫌いしてしまう。意識外で泳ぎたい
書いた詩には経過観察が必要で世話が焼ける
とはいえもし 後々へんな部分がうきあがったら献身的に治療するのもわたしだ
自分の詩を自己催眠なしですきだといいたい
ファスナーのように理屈なしで理想にフィットする詩をかきたい
あの花火がわたしのめざすすがた…
この詩は例外です