ほどこし
石垣を背にずり落ちて
閉じいく視界に
消え入る意識
轟々と流れる音は聞こえていて
こちらを見向きもしないどころか
それらは過ぎる度に声を掛けていく
それはまるで昔ながらの叱咤のよう
笑う事も馬鹿にもしない
それをするのは人間ばかりだ
不意に掛かる飛沫に思う
困窮に伏し項垂れる者への
僅かに施される果実の様だと
頬を垂れる雫に覗いて
どうにか瞼を開いても
まだ目の前を轟々と流れていて
施された果実は握り締めたまま
端に眺める為じゃない
分かっているよ聞こえているよ
それでもまだ起き上がれないんだ