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入学、初めて合う仲間たち

 ここはどこにでもあるような普通の学校で、どこにでもあるような普通のクラスだ。まあ、この教室に居る全員がなんらかの能力者であることを除けばの話だが。

 俺は今日からこの中学――光岡中学校に入学する高校一年生、桐山零だ。なーんか先生からここを推薦されて、なーんか受かってしまったのでここにいる。昇降口近くの掲示板に貼ってあるクラス発表の紙を見ると4組で、少なめの18人学級だった。知り合いはやはりいない。やっぱスタートダッシュで友達を作らないと気まずそうだ。

 階段を登り少し廊下を歩いて教室に着いた。一度深呼吸してドアを開けた。

数人と目があったが他の人も同じような状況なのか、陽キャや元からの知り合い同士っぽい人たち以外はほとんど誰も会話のしていない。とりあえず自分の席を確認し荷物を下ろす。

ちょっと話してみようとこそっと横の席を見たのだが…なんと右隣りは入学式当日だというのに爆睡しており、逆サイドを見ると消しゴムに触れた状態で精神統一している。謎すぎる。とりあえずカバンを後ろに置きに行ったのだが、頭の色が通常クラスよりかなりある。茶髪はもちろん、紺色やグレー、さらには紫や金髪、赤メッシュを入れている人までいる。校則はかなり緩かったので髪色規制はないのだ。目が疲れそうだなと思いつつ、このクラスを持つ担任はどんなすごい人なのだろうかと想像していた。

「はい、ホームルーム始めるから席着いてねー」

 勢いよく前のドアが開き、先生らしき人が入ってきた。第一印象は楽しそうな人(年齢は多分30前半ぐらいかな)って感じで、ショートヘアに蛍光色のジャージが良く似合っている。

「今日から君たちの担任となります、十紀田真と言います。あとで自己紹介するから、とりあえず一年間よろしくね」

そこで先生は一旦話を区切り、こっちの方を見た。何を言いたいかは大体予想出来たので、未だに気持ちよさそうに眠っている隣の少年の金色の頭を軽くたたいて起こした。目が覚めた瞬間、驚いたように周囲を見回している。小声ですべてを説明すると彼は納得したような顔で頷き、小さく「ごめん、ありがと」とつぶやいた。先生はちょっと笑いながら軽く謝るように手を合わせていた。

「じゃ、話の続きいくよ。ここからの流れなんだけど、入学式がもうすぐあるから体育館に移動する。順番は名簿でいっかな。その後学活で自己紹介タイムとその他もろもろ。んで、皆さんお待ちかねの帰宅だね。とりあえず廊下に2列で並んで体育館行くよ。号令は時間無いから省略で!」

 それから体育館に行って校長の話やPTAのおじさんの長話を聞いた。内容は…ほぼ覚えてないな。校長はハゲており、まるで太陽の光を受ける月の如くスポットライトを反射して輝いていた。そして一番衝撃的だったのは、なんとマイクから立ち去ろうとした校長の上着のポケットからくしが落ちたのだ。絶対に必要性が無いであろうそれに、前の方の人たちの肩が小刻みに震えていてこっちまで笑いそうになってしまった。

 なんだかんだ終わって教室に戻り、お待ちかね(?)の自己紹介タイムが始まろうとしていた。先生が自己紹介の話すお題を手慣れた様子で黒板に書いていく。ただ、その中には通常では絶対に見かけないことが一つ含まれていた。とりあえず、名前と好きな食べ物、特技までは良い。問題は、自分にある能力とそれによるやらかしたこと(ここ2つは言うかどうか自由)って所だ。全員が黒板を凝視しているのに気づき、先生は何でも無いことのように爆弾発言をした。

「あ、伝えるの忘れてたけどさ、このクラスの人みんなはなんらかの特殊能力持ちだからね。」

『はい???』

クラスで初めてハモったのがこの言葉だった。

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