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なんなんだよ!が止まらない

 



 一際大きく翼が上下した。ドラゴンが頭をふると、その口が開いて立ち並ぶ鋭い牙の列が見えた。強風が吹き荒れる。下降して来るつもりだ。



 ──逃げないと! 喰われる!!



 反射的に起き上がって校舎に向かって全力で走る。あんなデカイ図体なんだ、校舎に逃げ込めば追って来れないはずだ。ってか、なんで誰もこんな異常な状況に気が付いてないんだ!? あんなデカイ生き物、嫌でも目に付くハズだろ!


 得体の知れない化け物に完全に背中を向けるのさえ恐ろしくてできなかった。振り返りつつドラゴンの様子を確認しながら走り続ける。


 クルリと旋回するように、でも確実にこちらに近付いてきてる。



 ──っなんなんだよ!!



 街中の学校であたりは民家に囲まれてるのに、どこの家も(いた)って普通にあかりが(とも)っている。道路沿いの学校だ。人目には付きやすい。けれど、行き交う車は速度を変えることすらなく車を停める人も誰もいない。


 まるでなにも無いみたいにみんな普通の日常を過ごしている。あんなデカいドラゴンが唸り声を上げて空を飛び交ってるってのに。




「なんなんだよ!!」




 ──あのインチキ猫! 俺を殺す気かよ!!



 砂ぼこりを巻き上げブワッと後ろから風が巻き起こった。獣のいななきが、ドラゴンの鼻息が直ぐ耳元でするような錯覚を覚える。実際、生暖かい呼気を直ぐそばで感じる。もう振り返る余裕すらない。真っ直ぐ全力で校舎に向かう。



 ──なんなんだよ、まだ死にたくねぇよ。



 足がもつれそうになるたびに必死に堪える。転んだら終わりだ。目前に校舎の入り口のガラス扉が近づく。半ば体当たりする勢いでその両開きの扉にたどり着いた。慌てて掴んだドアノブのヒンヤリとした鉄の感触に安堵する。




 ──助かった!!




 けど──あれ、開かない。


 嫌な汗が背中を伝う。力強くで押そうが引こうが留め金が鉄にぶつかる音が激しく鳴るだけで、いっこうに開く気配がない。完全に施錠されている。




「ウソだろ……」




 ──冗談キツすぎる。




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