87話 ミネストローネ
クリスさんとルイスさんが出かけたあと、洗い物や片付けをします。
さて、私も出かけようかな、と思った途端、壊れたように、音がなり始めました。
ピロリン、ピロリン、ピロリン、ピロリン、ピロリン、ピロ、ピロ、ピロ……。
なんでしょう? うるさいな、まさか、経験値でレベルアップした音でしょうか、これは困ります。
女神様を呼びましょう。
「女神様──!!」
キラキラと周囲が光ります。
「ハロハロ、由紀ちゃん、なぁに?」
女神様です。
相変わらずお美しい。
「クリスさんとルイスさんがドラゴン狩りに行ってるんです! 私の作ったごはんを食べて行ったので経験値が入るのですが、レベルアップの音がうるさすぎて、困ってるんです!」
「わかった」
ピロリン。
「これで、レベルアップの音は聞こえなくしたよ、それより今、暇?」
「いえ、これから薬師ギルドに行ったり、屋台で販売したりと忙しいです」
「暇になったらまた呼んでね、じゃあ」
キラキラ光って女神様が消えていきます。
呼んだらすぐに来てくれる、ありがたいですね、さて、気を取り直して出かけますか。
薬師ギルドに来ました。
おや、なんだかうるさいですね。
華美な服を着たおじさんが錬金術が使えなくなったことを説明しろと職員に詰め寄っているようです。
皆さん無視しているようですね。
こうした、クレームには慣れているのでしょうか。
というか、このおじさんがあの子たちを苦しめていた方ですね。
ルイスさんはいいことをしましたね、改めて感謝します。
買い取りカウンターで、特級ポーションを買い取ってもらい、食堂の調理場の冷蔵庫にデザートの納入を済ませ、市場に急ぎます。
市場の外れに近づくと、行列が出来ていました。
全部で20人なのかな? なかには、明らかに衛兵だと思われる人たちが数人混じっています。
周りの人たちに聞いてみると、行列の騒ぎの元となるスープに人を虜にする常習性のある薬物が使われているのかもしれないから、確認する為に飲むのだそうで、行列に並ぶのは仕事だそうです。
いいのかな、街の平和はどうなるのかな?
絶対に違う! 単においしいと噂になったスープを飲みたいだけだと周囲の人たちは言っているけど、私にとっては並んでくれているお客さん。
無下にはできません。
このまま並ばせておきます。
屋台に到着しました。
エリク君とリリアちゃんが挨拶をしてくれます。
んー、今日も可愛いですね。
さて、今日はミネストローネでも作りましょうか。
エリク君が隣の店からもらったという野菜を見せてくれます。
くず野菜だけではないですね。
きちんとした野菜もあります。
ん? これからも差し入れをよろしくと言われた? それなら、もらってもいいかもしれませんね。
もらった野菜をリリアちゃんに洗ってもらい、エリク君には皮を剥いてもらい、私が切ります。
人参、キャベツ、玉ねぎは粗めのみじん切りに、じゃがいもはさいの目切りに、ここにニンニクとトマト、大量のベーコンを物々交換で購入して、ニンニクは細かなみじん切りに、トマトやベーコンは粗めのみじん切りにします。
まずは、鍋にオリーブオイルとニンニクを入れて炒めます。
そのあとに、人参、玉ねぎを炒め、少し火が通ったら、キャベツ、ベーコンを入れ炒め、最後にトマトとじゃがいもを入れて炒めます。
ここに、カットトマトを大量購入し、鍋の中に入れて炒め、ローリエ、水、コンソメを入れて煮ます。
野菜が柔らかくなったらトマトジュースを入れて、塩、胡椒をして味をみます。
うん、出来上がりかな、ローリエを取り出して、バターロールを大量購入し、竹ざるに載せます。
準備できました。




