76話 狙われた美少女
店のご主人に礼を言い、市場に向けて歩き始めます。
どうやら、娼館による大がかりな仕掛けがあるようですね。
まずは、子どもたちの屋台に行ってスープを飲んでみましょう。
あ、屋台だ。
そして、あの忠告をしてくれた女性がいます。
少し離れて女性の様子を探ります。
まだ、棚に商品はあるのに呼び込みも何もしていません。
どうやら、娼館の回し者というのは本当のようです。
次に子どもたちを見ましょう。
あー、確かに妹さんは可愛いですね。
十歳ぐらいでしょうか、抜けるような白い肌に赤い唇。
今でも、美少女ですが、育ったらどえらい美女になりそうな予感です。
粗末な服なので、ちゃんとそこまで見ていませんでしたが、もっときちんとした格好をすれば誰もが振り返るようになるでしょう。
そして、お兄さんの方も気がつかなかったけど、ものすごい美形ですね。
うーん、スープを飲みに行きますか。
「銅貨3枚です」
うん、薄味のスープですね。
前と同じ。
「ねぇ! ちょっと! あんた!」
無視します。
おかわりをもう一杯もらいます。
「銅貨3枚です。ありがとうございます」
少しは仲良くなれましたかね。
しかし、この味ではお客さんがこないでしょうね。
子どもたちが、お金を得られるようにテコ入れしたほうがいいのでしょうが、どうしたらいいのでしょう。
直接言ったら怪しまれますよね。
そうだ、隣の店からお願いしてもらえばいいんじゃないでしょうか。
だけど、いくらなんでも、初対面の人間がそんなことを言っても無理ですよね。
佐藤君行きつけの店のご主人に情報通の方を紹介してもらって、仲介してもらいましょう。
善は急げとも言いますし、さっそく佐藤君行きつけの店に行きましょう。
少し他人から見えないところに行って、転移魔法を使います。
まだ、店は準備中ですね。
入りましょう。
「すみません」
まずは、声かけ。
「おや? どうしたんですか?」
ご主人が奥から出てこられましたね、先ほどと同じです。
「余計なお世話かもしれないのですが、子どもたちの商売を手伝おうかと思いまして」
「ほぅ、それは素晴らしいですね。でも、大丈夫でしょうか?」
「まぁ、なんとかなると信じて、もし私があの子たちの母親だったらなんとしても助けてあげたいですしね」
「優しいですね、渡り人はみんなそうなんですかね」
「違うと思いますよ」
「そうですか」
「そんなもんです」
私が考えた計画を話します。
まずは、情報通の方から私をあの屋台の隣の店への紹介をしてもらいたいという件での相談は了承されました。
「情報通の方の今日の報告は店の閉まった夜にしてもらう約束でいます。その時に同席してもらえば、お願いできるかと」
「情報通の方に私を紹介をしていただけると」
「はい」
「なるほど、よろしくお願いします」
ご主人に今晩来ることを約束して店を出ます。
さて、どうなることやら。




