64話 カレー再び
クリスさんの家に手を繋いで中に入ります。
「ユキの部屋だけど、奥にしたんだ。私の部屋は隣にあるけど、しばらくは二階の部屋で暮らそうと思う」
うん? クリスさんの部屋は隣にあるのですか?
「トイレは一階に二つあるから、奥の部屋に近いところはユキが使って、私は入り口の方を使うよ」
なるほど、一緒のトイレでなくて良かったです。
一緒のトイレを使うなんて、モブとしては、恥ずかしくて死んじゃうところですよ。
部屋に行き、荷物をチェストに入れます。
可愛い。
小花柄の薄ピンクな壁紙に、寝心地の良さそうなベッド、机や椅子、チェストなども可愛くて、カーテンもフリルたっぷりです。
どこかのお姫様か、お嬢様の部屋だと思われるぐらい、可愛い。
こんな部屋にモブがいても良いのでしょうか?
おや? 奥に扉があります。
開けてみましょうか。
シックな男性向きの部屋です。
落ち着いていて、シンプルです。
これが、クリスさんの部屋なんですね。
勝手に入ってごめんなさい。
でも、なんでこんなところに扉があったのでしょうか、考えると怖いので忘れます。
デパートでエプロンを買います。
前に貸してもらった、エプロンはフリフリでしたから恥ずかしいんです。
シンプルな黒いエプロンにします。
汚れのつきにくい素材ですね。
廊下に出てクリスさんと会いました。
クリスさんががっかりしています。
手には白いフリルのついたエプロンです。
だけど、クリスさんはすぐに復活しました。
黒もいいとか、呟いていますね。
台所に行きます。
さて、今日は甘口がいいでしょう。慣れない場所にも行きましたし、緊張しました。
疲れています、本当は。
なので、カロリーオフのリンゴと蜂蜜の入ったパウダー状のカレーのルーと疲れをとるために玉ねぎ多めにします。
必要な物を購入して。
うーん、これから食器なども必要になりますね。一応ありますが、日本食用の食器など来客用も含めてデパートで余分に買っておきましょう。
購入。
よし、まずはお米を炊いて。
じゃがいも、人参、玉ねぎを適当な大きさに切って、例のまだまだある、オークキングの肉を半冷凍にして、薄切り肉にします。
野菜とローリエを水から煮て少し煮たったら肉を入れます。
今日は薄切り肉のカレーが食べたかったんですよね。
角切り肉と違って、カレーがよく絡まっておいしいんです。
単なる私の好みですが。
家では、しゃぶしゃぶ用の肉や、安い豚こま肉で作っていたんですよね、懐かしいです。
野菜が柔らかくなったらルーを入れる。
ソースを入れて、今日も醤油をひと垂らし。
今日はサラダもつけましょうか。
デパートで買ってしまいましょう。
ポテトサラダ購入。
二人分盛り付けます。
カレーも盛り付けて。
クリスさんがソワソワしています。
出来上がり。
クリスさんが、おぼんで運びます。
んー、いい匂い。
クリスさんが待ちきれないようです。
「いただきます」
おや? クリスさんは日本の挨拶を覚えましたね。
照れていますね。
褒めましょう。
「クリスさんは、もう、私の国の挨拶を覚えたんですね」
「ユキが作ってくれたからね、挨拶したかったんだ」
カレーをじっくり味わうように食べてますね。
おかわりはまだまだいっぱいあります。
だけど、二日目のカレーもおいしいんですよね。




