63話 電気シェーバー
ご主人が来た。
相変わらずロマンスグレー。
クリスさんと二人立って出迎える。
ご主人が謝っているね、私たちを立たせたのと、地球の品物を図々しくもいただくことになってと……ご主人の後ろにいる中村君が嬉しそう。
「やっぱ、自分が選ぶのもいいけど、他の人が選ぶのを見てても面白いもんな。ほら、みんな立ってないで座ってよ」
「わかった」
中村君に言われて座ります。
「オープン」
ご主人に映像を見せます。
まず、どういった物が欲しいのか聞いてみます。
「携帯できて、こちらでも使えるものがいいですね。噂では電池という物を使ったものがあちらにはあるとか」
「懐中電灯や、電気シェーバー、ほかにゲームとか、それほど多くはないですが、ありますね」
「懐中電灯とはどういうものですか?」
「明かりですね、今、映像で出ます。これですね」
「ほぅ、いろいろありますな」
「高梨、これくれ、俺用に」
懐中電灯を一つ購入。
「電気シェーバーとは?」
「これですね、男性用の電気髭剃りです」
「ほぅ、興味深い」
「いかがですか?」
「いいですな、コンパクトで精密です」
「次にゲームです。ゲームはソフトという物を変えることによって違う遊びができるようになるんです。ただ、この中の文字はだいたい日本語になりますが」
「なるほど、先ほどの電気シェーバーが欲しいですな」
「わかりました」
電気シェーバーでもいろいろあるので、一番気に入った製品を選んでもらって、それに合う乾電池も追加で付けた。
「これは、結構な物をありがとうございます」
ロマンスグレーのニコニコ顔です。
クリスさんが私の腰を抱いてきます。
なぜ?
まぁ、いいでしょう。
中村君にデパートとスーパーで欲しい物を選んでもらいます。
蕎麦の乾麺やめんつゆが欲しいなら、自分で好きな物を買うように勧めました。
爆買い。
日持ちのするものを、片っ端から爆買いしています。
軍資金は、中村君から金貨10枚いただいてます。
あ、それはお高い高級チョコレート。
なになに? これをいつもお世話になっているご主人にプレゼントしたかった。
なるほど、ご主人に消え物を選らばなかったのはそういうことですか、中村君から渡すつもりだったんですね。
さすが、義理がたい。
でも、ご主人が受け取ってくれるかどうかが、心配?
なんで?
ここに来るときも、あっちの製品を高梨からもらうことにもの凄く反対していて、なかなか了承しなかった?
高梨には、また俺の方からなにか奢るからと言って強引にご主人を連れてきた。
なるほどねぇ。
大変だったんだね。
でも、私たちもこの奥の部屋を借りっぱなしでも悪いしね。
世の中、お互いに損をしない対等な仲でないと長続きしないから。
やっぱりどこかで折り合いをつけないとね。
中村君、爆買い中です。
マジックバックが時間停止付きだから、これを機会に、ガンガン買う?
いいね。
ガンガン買っちゃって……購入。
中村君の買い物が終わりました。
10万円って結構な金額ですからね。
しかも、スーパー中心での買い物。
中村君がやりきった顔をしています。
さて、おいとましますか。
中村君たちから感謝されながら、店を出て、転移魔法でリルセンの街に戻ります。
勿論、クリスさんに抱きしめられた状態で。
さて、これから、クリスさんの家ですかね。
あれ、クリスさんがなにか言いたそうです、なんでしょう。
「クリスさんなにかあるのですか?」
「いや、ユキと一緒に夕食を食べてから帰ったほうがいいかな? と思ってね、ユキは疲れているだろうし」
「大丈夫ですよ。家に帰ってから食事を作ってもたいした手間でもありませんし」
「それだったら、お願いがあるんだ。カレーという食事をまた作って欲しいのだけど、いいかな?」
「カレーですね、わかりました、カレーは簡単なので楽なんですよ」
「楽なのかい? あんなに複雑な味なのに」
「私の作るときはルーと言って、既に味の決まった調味料を使うんです。だから、普通の料理よりも簡単なんですよ」
「それなら良かった」
クリスさんから抱きしめられます。
転移魔法ですね、慣れましたよ。
クリスさんの家につきました。




