6話 冒険者ギルド
早朝、薬師ギルドの受付に行く。
身分証を作るには銀貨5枚が必要とのこと。
足りないので、まずは買い取りカウンターで下級ポーションの買い取りをお願いする。
1本銀貨4枚、あわせて20本金貨8枚となった。
売りに出す際には1本銀貨5枚で売られるそうだ。
手数料は2割程。
思ったよりも価格が良心的だと感じた。
もっと手数料は取られると思っていた。
銀貨5枚を支払い、身分証を作った。
薬師ギルドへの貢献の度合いと取引内容、取引量によってギルドランクがあがるらしいことを聞く。
買い取り価格は変わらないが、なにかと我が儘が通ったり、融通が効くようになるらしい。
例えば不動産取得の際の保証人などでもよく利用されるそうだ。
S、A、B、C~Fまであるそうだ、私はF。
コツコツランクを上げていこうと思う。
ちなみに身分証は特殊な金属のカードのようなもので、なくしたら金貨1枚かかるらしい。
大切にしようと思う。
雑貨屋にポーションの蓋付きの空き瓶を買いに行く。
少し多めに80本買った。
アイテムボックスにしまう。
さて、薬師ギルドの部屋で下級ポーションを作るかな……と思ったところで石鹸を見つけた。
形は地球にあったオリーブの石鹸のように四角だが、色が違う。
匂いも嗅いでみる。
あまりいい匂いはしない。
少し悩んで買うことに決めた。
高級宿では石鹸など盗まれないように持ち込みだそうだからだ。
錬金術で作られたシャンプーとトリートメントが小瓶であったので買うことにした。
この世界では風呂は贅沢だ。
貴族の家や高級宿、豪商などの家にしかないそうだ。
高級宿は食事なしで金貨2枚。
髪の毛をきちんと洗いたい。
教会で清潔の魔法も受けられるそうだがそちらは、銀貨1枚。
服も一緒に魔法がかかるので洗濯しなくてもよくなるそうだ。
どちらにしようか。
いいや、明日考えよう。
街を散策する。
思ったよりも広い街だ。
噴水もあり、発展している。
冒険者ギルドの看板がある。
剣に盾のマーク、そして冒険者ギルドという文字。
街の中央のいい場所にあって非常に大きい。
三階建てだ。
いつか自分も重力魔法で魔物を倒し、レベル上げをしなくてはならない。
絡まれるかもしれないが、入ってみるのもいいだろう。
緊張しながら扉を開ける。
別世界だった。
冒険ギルドには酒場が併設されていた。
そして、そこにいる美男美女。
中年らしき筋肉質で渋いイケメンな美丈夫もいれば、若い細マッチョなイケメン剣士がいて、魔法使いと思わしき憂いを帯びた美青年がいる。
女性はといえば、際どいところまであらわにしたビキニアーマーの美女剣士から、ごく普通の皮鎧だがハリウッド女優のような匂いたつような美貌の剣士、愛らしい美少女魔導師などあり得ないモテワールドがそこには展開されていた。
モブにはキツイ。
キラキラが。
キラキラが。
根性を出して受付に行く。
結論から言おう、そこには魔物がいた。
巨乳のボンキュッボンの色っぽい金髪碧眼のお姉さんが!
薬師ギルドの受付も美人だが、こちらは違う意味での美人だ。
あり得ないほどセクシーすぎる。
そして冒険者ギルドの制服は胸が強調されている。
もう何も言うことはない。
もし私が男性だったらヤバいことになっていただろう。
気を取り直して私のような異世界から来たものでも安全にレベル上げが出来る魔物がいないか聞いてみる。
「フォレストキャタピラーですね。それと、スライム」
「どこにいますか?」
「街の西門を出て30分ぐらい歩いた平野にいますよ。キャタピラーは薬草を食べるので見かけたら必ず倒してください。キャタピラーは魔石が小さすぎて買い取り不可ですし、討伐しても報酬がでないのでただ働きとなってしまい申し訳ありませんが、スライムには魔石がありますので小さいので安いですが、買い取り可能です。買い取りには冒険者ギルドのカードは必要ありませんが、ギルドランクがあがると様々なサービスが受けられるので、カードを作られたほうがよろしいですよ」
街の宿や冒険者ギルドの酒場やアイテムショップなどでサービスが受けられるらしい。
行こうと思っていた高級宿もギルドランクがあがれば1割引きになるとのこと、喜んでカードを作った。
銀貨5枚。
なくしたら金貨1枚。
どこのギルドでも同じらしい。
ランクもS~Fまで、ランクが上がる理由も討伐内容やギルドへの貢献実績。
私はFランクから。
薬草採取などもあるそうだが、私は薬師なので薬草を使うので提出しない為、はじめは、スライム討伐からになる。
「あの……」
男性の声が聞こえた。
受付から離れると目の前にものすごいイケメンがいる。
漆黒の黒髪にに金の瞳。
身体は細マッチョで長身だ。
あり得ないほど顔が整っていて、涼しげな目元は慈愛に満ち、セクシーな口は笑みの形に弧を描いている。
私のようなモブに声をかけるわけがないなと思い、サッと横を通りすぎる。
その美青年は戸惑ったように身動ぎしていたが、諦めたように受付に向かった。
冒険者ギルドを出てホッとする。
多分、普通の人もいたのだろうが、なにか違った世界に足を踏み入れた気がした。
あまり行きたい場所ではない。