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58話 醤油

「高梨様、申し訳ございません、情報が漏れたのは私どもが原因かと」

「いえいえ、砂糖を金貨10枚で売る市川君が悪いんですよ」

「しかし、市川様は砂糖と魔力を交換して生み出す能力とか、それでしたら高梨様のようなお力とは違いますし、限界もあったのでしょう」


 知ってた。


 調味料魔力交換。


 一番始めにスキルを選ぶとき、面白いスキルがあると目をつけたから。


 だけど、文字が黒くなっていて選ぶことができなかったから、よく覚えている。


 もし、市川君が選んでいなかったら私が選んでいた。


 それほどの有用スキルだ。


 まぁ、スキルは一人3つまで選べたから、市川君が商業ギルドに砂糖を売れなくても、困りはしないだろう、早いほど有用なスキルが多かったのだから、心配はいらない。


 他の2つはなんのスキルなのだろうか。


 まぁ、いい、値段を()り上げて市川君がここに売らないのなら私が売るだけだ。


 商業ギルドのギルド長にお願いする。


 他の調味料の買い取りを。


 応接室に案内される。


 紅茶とクッキーが用意される。


 紅茶を飲み、クッキーを食べる。


 甘い。


 前に食べたときよりもクッキーが甘い気がする、驚きの表情が隠せない。


「気づかれましたか、こちらのお菓子は高梨様から買い取った砂糖を使っております。今までは節約して使っておりましたが、その必要がなくなり、職員一同喜んでおります」


 ふぅん、喜んでいただけてなにより。


 売りたい調味料の話をする。


 スーパーで醤油を購入する。


「これなのですが、醤油といいまして、私たちの世界では欠かすことのできない調味料として有名だったのですが」

「味を確認しても、よろしいですか?」

「はい、今開けますね」


 醤油が出せるように蓋などを取る。


「ほぅ、少しお待ちください」


 そう言うと、ギルド長は小さなスプーンと小皿を用意した。


 応接室の棚にはさまざまな物が入っているらしい。


「では、失礼して」


 うん、醤油を確かめているね。


「複雑な味ですね、ふーむ、売れるとは思いますが、いくらぐらいでお売りになるご予定で?」

「皆さんが、銀貨1枚ぐらいで買えればいいな、とは思います」

「銀貨1枚? 金貨1枚でなく。あり得ませんな」

「そこをなんとか、私の故郷の味なんです。欲しい人は欲しいのです」

「仕方ありませんな、これも人助け、やりましょう。私どももあの砂糖には助けられましたから。高梨様の側で、銅貨8枚、私どもで銅貨2枚でいかがでしょうか?」

「それでお願いします」


 ひとつ片付いた。


 スーパーでめんつゆと味噌を購入する。


「ついでにこちらも」


 めんつゆと味噌を出す。


「味の確認をしても?」

「どうぞ」

「ふーむ、こちらは砂糖が入り味のバランスもいい、こちらの固まりは先ほどの醤油と似ておりますな」


「砂糖の入ったほうが、めんつゆ。先ほどの醤油に似たのが味噌です。どちらも私たちの世界においてはよく使われていました」


「で、おいくらで売られるおつもりですか?」

「先ほどと同じで」

「わかりました、高梨様が銅貨8枚、私どもが銅貨2枚ですな、結構なお取り引きをありがとうございます」

「よろしくお願いします」


 頭を下げる。


 ギルド長と共に席を立ち、倉庫に向かう。


 話題は生理用品だ。


 どうやら反響が大きく、どこでも引っ張りだこで嬉しい悲鳴が聞こえるそうだ。


 今日も卸して欲しいと言われ喜んで了承する。


 それと共に、これからはクリスさんのところでお世話になることへの話をする。


 驚かれたが何故か納得される。


 倉庫に着き、砂糖を800袋と、醤油、めんつゆ、味噌を50個ずつと、生理用品を大量に購入して、倉庫に出した。


 これでしばらくは大丈夫だろう。


 なにかあったらクリスさんのところにいるとわかっているし、これで、商業ギルドでの在庫の心配しなくても良いだろう。

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