42話 卵スープ
薬師ギルドに帰り、部屋に戻って特級ポーションを30本作った。
明日はこれを売りに行こう。
ベッドで眠る。
朝になった。
いつかは屋台を始めてヨーグルト売りをやめるのかな?
どうしよう、あとで誰かに相談しよう。
ヨーグルトを売り始める。
みんないそいそと嬉しそうに買っていく。
そして、食べている。
私もヨーグルトと朝食を食べる。
この質素な食事にも慣れたものだ、日本にいたときの食事が遥か遠くにいった気がする。
買い取りカウンターで特級ポーションを買い取ってもらう。
1本金貨2枚。
全部で金貨60枚。
これを毎日続けていけば屋台の代金もいつかは支払えるが、とりあえず今屋台をやりたい。
そして、金銭を得る手段もある。
買い取りカウンターのお姉さんに相談する。
「すみません、そのうち屋台を朝やりたいので、朝のヨーグルト売りどうしたらいいですかね?」
「えっ?ヨーグルト売りはやめちゃ駄目よ。人はこっちで用意するから、絶対やめちゃ駄目」
すがるように、お姉さんが言う。
どうやら、上の人と相談してなんらかの方策を講じ、朝のヨーグルト販売は継続するようだ。
商業ギルドに行く。
商業ギルドに着くと豪華な応接室に案内され、ギルド長と会うことになった。
ん?倉庫じゃないんだ。
「すみません、高梨様。ひとつお願いがありまして、もし、砂糖が手に入るようでしたら分けていただけないでしょうか」
話を聞いてみると、市川君が砂糖を売っていたそうだが、いままで金貨10枚の買い取りだったが、金貨15枚に値上げするよう交渉してきたそうだ。
商業ギルドでは金貨10枚が最大限で、金貨15枚などとても支払えないとのこと。
これからは金貨15枚でなければ、一切売らないと脅してこられ、大変困っているとのことだった。
うーん、市川君に恨まれるというリスクはあるが、これはいいタイミングかもしれない。
売ってしまうか、砂糖を。
倉庫に出向いた。
砂糖がスプーン一杯銀貨2枚は高過ぎる。
せめて一般庶民が買える値段でないと。
市川君のニヤニヤ笑いを思い出し、思いきって砂糖一袋金貨1枚で売ってやった。
後悔はしていない。
ギルド長が驚いていたが構うものか。
その代わりといってはなんだが、屋台を出す為の金銭を稼ぐ為、大量に買ってもらった。
900袋売り払った。
金貨900枚。
白金貨9枚だ。
これで屋台の出店が出来る。
そのあと、大量に生理用品を売り払い、倉庫をあとにした。
屋台を専門に作る鍛冶屋と魔道具屋に行き、屋台を作ってもらうことにした。
どちらも、より性能のよいものはそれなりに高くなるそうで、予定よりも高額になり、全部で、金貨980枚かかることになった。
白金貨9枚と金貨80枚で支払った。
即金で支払ったら、お金はまけないがちょっといい包丁をもらうことになった。
ミルリル製。
錆びない、折れない、刃こぼれしない良品だ。
ちょうどいい大きさで使いやすそうだ。
お昼になったので、食堂を探す。
屋台のリサーチはしたが、食堂のリサーチはしていない。
一応、調べておかなくては。
混んでいそうな食堂に入る。
男の人が多いな。
メニューをみると、肉料理がほとんどだった。
ボア肉の煮込みと、ライ麦パン、卵のスープを頼む。
卵のスープはたまたま安く手に入ったからあるだけで、本来ならこんな高級品はないそうだ。
全部で銀貨3枚。
ちょっとお高い。
ボア肉の煮込みは塩味なので、ポトフに似ている。
卵スープはかき卵だが、申し訳程度に入っているだけだった。
うーん、卵スープは期待外れだけどこんなものか。
薬師ギルドに戻り、部屋で特級ポーションを作る。
うん?キラキラと周りが光り始めた。
あの方だな、と思った。




