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37話 カレー

 冒険者ギルドを出ると抱き締められ、転移魔法を使われました。

 

 一瞬でクリスさんの家に着きましたが、ここは王都のクリスさんの家とは違いますね。


 庭は広そうですが、家はこじんまりしています。


 庭には木々が沢山植えられています。


 まるで、隠れ家のようですね。


 ここがどこか聞いてみますと、同じリルセンの街にあるそうです。

 多少郊外で離れているけど、冒険者ギルドからも歩いてこれる距離だそうですよ。


 転移魔法、必要なかったんじゃないかな。


 まさか、抱き締めたかったから、わざわざ転移した?

 

 クリスさんに対し、疑いの眼差しを向けます。


 私の視線に気が付いたのか、嬉しそうに微笑みます。

 

 くっ、イケメンが。


 モブは普段からそんな微笑みを向けられることがないので、ちょっと戸惑いますよ?


 勘違い封印。


 モブは主人公と絡むにしても、普通は通行人役です。

 

 サブキャラでもないのに、こんなに絡むのは、生意気です。


 自戒しなくてはなりません。


 クリスさんと手を繋いで家に入ります。


 カントリー調。


 落ち着いたいいかんじです。


 キッチンに着きました。


 エプロンを渡されます。


 白い色のフリルたっぷりの可愛いらしいものですね。


 まるで新婚家庭で使うようなエプロンです。

 

 さて、チャッチャと作りますか。


 ローリエの葉と中辛でスパイスの効いたカロリーの少ないパウダー状のカレーのルーを購入します。


 なんで、カロリーオフのカレーのルーなのか?


 胃もたれがしないからです。


 どうも油っぽいものはあとで苦しくなるんですよね。


 私は、胃弱なのかもしれません。


 続けて人参、玉ねぎ、じゃがいもを購入します。


 土鍋でまずはお米を炊いて……と。


 人参はいちょう切り、玉ねぎ、じゃがいもは適当に切って、肉はオークキングのものが余ってますのでそれを使います、肉を小さめの一口大に切って……と。

 

 お鍋に野菜とローリエと水を入れ火にかけます。


 油で野菜を炒めることはしません、そのまま水を入れ煮たたせます。

 

 煮たってきたら、肉を入れ、灰汁を取ります。


 じゃがいもが柔らかくなってきたら、カレーのルーを入れぐるぐるかき混ぜます。


 できあがりに、醤油をほんの少し、ひと垂らしして味を締めます。

 ケチャップやソースもいいのですが、なんとなく、今日は醤油で、と思いました。

 お皿を借りて、ご飯をよそい、カレーをかけて、水を用意します。

 

 あ、テーブルにはクリスさんが持っていくのですね。


 カレーなどを、おぼんに載せています。


 うん、テーブルにカレーを載せましたね。


 うん?おぼんを置いて、何故に私をギュッと抱き締める?


「お嫁さんみたい……」


 うん、それは妄想ですね。


 エプロンが可愛いから、勘違いしてるんですよね。


 中身はモブですよ。


「カレーが冷めますよ?」


 冷えたらカレーはおいしくないんですよ。


 しぶしぶといったかたちでクリスさんが抱き締めるのをやめましたよ。

 

 モブはテーブルに座ります。


 クリスさんは正面に座ります。


 うん、クリスさんがキラキラですな。


 ちょっと二人きりなので恥ずかしいです。


「じゃあ、食べましょうか」


 食べ始めます。


 いただきますと言わなかったのは多分こちらにはそうした言葉がないだろうから、いただきますは日本語ですしね。


 カレーおいしいです。


 中辛にして正解でしたね。


 大人の味わいです。


 クリスさんがちょっと目を見開いて驚いた感じでカレーを食べます。


 あ、嬉しそうですね。


 カレーで正解だったかもしれません。


 しかし、このオークキングの肉がおいしいですね。スパイスの効いたカレーの中でも存在感が抜群です。


 噛めば、ジュワッと肉汁が飛び出して肉の旨味を感じます。


 あ、終わってしまった。


 あれ、クリスさんが悲しそう、カレーが終わったのですね。


「おかわりいかがですか?」

「いただきます」


 クリスさんから空になったお皿を受け取ります。


 いそいそとご飯をよそい、カレーをかけて……と。


「お待たせしました」

「ありがとうございます」


 クリスさんの笑顔復活。

 

 可愛いです、クリスさんの目がキラキラです。


 私はこれ以上食べたら苦しくなるのでやめておきます。

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