35話 話題
よしっ、朝食も食べましたし、買い取りカウンターにでも行きましょうかね。
買い取りカウンターで、下級ポーションを17本出します。
いつもより少ないからか、不思議そうな顔をされます。
ま、仕方ないですね。
特級ポーションはクリスさんに渡すつもりでしたからね。
ついでに特級ポーション用の薬草を、10本ぶんぐらいの物が作れる程度、購入します。
あの錬金釜でどうなるのか楽しみです。
さて、クリスさんに会いに行きましょうか、薬師ギルドを出ます。
と、なにやら馬車の止めてある辺りから走ってきた人とぶつかりそうになります。
なんでしょうか、穴のあくほど、私を見ていますが。
「すみません、高梨様ですか?」
「はい、高梨ですが」
「良かった。商業ギルドの者ですが、至急ギルド長がお会いしたいとお待ちです」
「わかりました」
馬車に案内されます。
さすが商業ギルド、黒塗りの高級そうな落ち着いた馬車です。
馬車の中は多分広い方なのでしょう十分な大きさで足が伸ばせます。
ガタゴトと馬車が揺れるなか商業ギルドの方と話し合います。
どうやら昨日渡した生理用品が他領との商業ギルド間の魔法通信で話題になったらしく、いくつもの商業ギルドが取り寄せを希望しており、その受注がとんでもない数となり慌ててギルド職員が商品を押さえるべく動いたとのこと。
近くの領地であれば荷馬車で、遠くの領地であれば高額にはなるが転移魔法での商品の移送がすでに用意されており、あとは商品を待つばかりといった状況らしい。
商業ギルドとしては嬉しいばかりだが、もっと昨日からそうした準備ができていれば良かったが、示しあわせたように皆早朝に連絡してきて、この人も朝食をゆっくり食べることなく準備に駆り出されたらしい。
「たいへんでしたね」
ねぎらうといいえ、高梨様のほうがこれからたいへんなのですよ、と心配された。
大丈夫なのだろうか。
商業ギルドについた。
馬車を降りるとギルド長が駆け寄ってきた。
「お待ちしておりました。こちらへ、どうぞ」
ギルド長が先頭に立って案内をする。
大きな倉庫だ。
倉庫の入り口にはいくつもの荷馬車が待機していた。
「すごいですね」
思わず声が出る。
荷馬車はざっと見ただけでも30台はいた。
どうやら、村といったような小さなところにも商業ギルドはあるらしい。
いったい、どれだけ多くの商業ギルドで話題になったのだろうか。
「こちらをどうぞ」
皮の袋を渡される。
中を確認してくれと言われ、中を確認すると、白金貨が50枚入っていた。
白金貨は1枚100万円の価値がある。計算すれば5000万円が今私の手の中にあるのだ。
恐怖だ。
そんなお金は持ったことがない。
「これで買えるだけ買いたいのですが」
ギルド長にそう言われる。
これだけ大金だとどれぐらい出せばいいのか混乱したが、頭のいいギルド職員が計算してくれたので、言われるがままに生理用品を購入した。
塵も積もればでかなり儲かったが正直二度とやりたくないと思ったが、毎月何回か定期的に行いたいと言ってきた。
辞退しようとしたら、沢山の女性たちが悲しむだろうと言われ、断ることが出来なくなってしまった。
仕方ない。
覚悟を決めよう。
商業ギルドのギルド長は他人の使い方が良くわかっている。
負けた。
ようやく購入が終わり、気が付くと、時間は昼をとうに過ぎた時間である。
ギルド長から、食事を奢りたいと言われ、遠慮なくご馳走になることに決めた。
王都でクリスさんにご馳走になったお店ほどではないが、高級そうなレストランに案内された。
食事はコース料理のお任せをギルド長に勧められた。
味付けも複雑で、栄養のバランスも良さそうな食事だった。
日本だったら、ちょっとしたフレンチレストランと同じレベルだ。
前菜に始まり、スープにメインのクリームソースの柔らかなお肉、デザートにかぐわしい香りのお茶。
この世界でも充分に満足出来る食事だった。
「高梨様、本日はお忙しいなか、ありがとうございました」
「では、私はこれで」
簡単な挨拶をして、ギルド長と別れ、冒険者ギルドへと向かう。
目的はクリスさんに特級ポーションを渡すことだ。
これで少しは借りを返してホッと出来ると思い、嬉しくなった。




