28話 指輪
お店に着きました。
高そうなお店です。
ドレスコードは大丈夫でしょうか。
馬車から降りるとクリスさんがエスコートしてくれます。
デートっぽいです。
店の中に入って店員に案内されます。
どうやら、奥にある個室を予約してあるようですね。
店内のテーブル席の皆さんがクリスさんを一度見て、私を二度見します。
女性の方々の目が、クリスさんにエスコートされている私を見て、コレジャナイ感を抱いているようですが、モブの私は平然としています。
だって私が一番、コレジャナイ感を自分自身で感じているからです。
クリスさんのエスコートする相手はボンキュッボンの魔物か、超絶美少女が定番だと思うのです。
なんで、私なんだろう。
ぼんやりしてたら、個室に到着し、席に座らされていました。
そして、いつの間にか正面にクリスさんが座っています。
正面からのイケメン。
ピクニックのときは正面じゃなかったので、あまり顔は見なくても大丈夫だったのですが、正面は見なければなりません。
緊張しますね。
食事が喉を通るのか心配です。
前菜から始まり、少なめのスープにメイン……。
どちらかというと料理はフレンチやイタリアン寄りですね。
魚にお肉両方出ましたし、その間には口直しのあまり甘くないシャーベットのようなものもありました。
フルコースと同じです。
クリスさんの話も楽しくて、この世界の知らないことを教えてくれます。
はじめの緊張もほぐれて楽しく食事ができました。
この世界でも、これだけおいしい料理が出せるなんてと驚くレベルですが、クリスさんの日常はどうやら庶民とは違うようです。
少しさみしいです。
デザートを食べおわりました。
パンナコッタみたいな感じでした。木苺のソースもおいしかったです。
お店を出ます。
クリスさんにしっかりご馳走になってしまいました。
まぁ、あの場面で男性に支払わせないのはさすがにないですからね。
あとで、なにかをお返ししましょう。
馬車に乗り、次のお店に到着します。
黒い外壁にシックな金色の飾り。
明らかな格上の高級店ですね。
なんのお店でしょう。
少し自分の格好が恥ずかしいですね。
え、クリスさん?気にしないで?
はい、気にしません。
扉を開けてくれる方がいるのですね。
ふぉ、宝石店です。
天井には、シャンデリアですね。
キラッキラです。
奥に案内されるみたいです。
個室です。
緊張します。
宝石を見る?
うーん、日本ではデ○ィ夫人か、叶○妹のお姉さましかしていないようなでっかい宝石のついた指輪が出てきましたよ。
しかも、一つじゃないのですよ。
明らかに、嫌な予感がします。
「この中からお好きな石を選んでください」
クリスさんに勧められます。
無理ですよ。
固まっている私の手をとり、クリスさんが私の指に指輪を嵌めます。
うひょー、モブの指にでっかい指輪が嵌まっています。
私には無理です。
早く外してください。
外されました、そして、新たな指輪を嵌められました。
外して欲しかったけど、そうじゃありません。
倒れそうです。
誰か助けてください。
「ユキにはどれも似合うけど、ユキはどれが好き?」
驚きましたが、ここにある宝石はみんなクリスさんがダンジョンの宝箱から取ってきたものだそうです。
そして、この中に気に入ったものがなければお店のなかから選んでねということでした。
どれを選んでも、モブには大事故です。
どうしましょうか。




