14話 モニター
目下、大ピンチの私に助けはいない。
どうしよう。
クリスさんの手を掴み外そうと努力する。
……外れない。
S級冒険者だものね。
力が強い。
しっかりと腰を抱かれてしまった。
逃げ道はどこにあるの。
「クリスちょっといいか?」
おお、きっちりとした服を着たがっしり系の美丈夫イケオジが来た。
クリスさんに用があるんですね。
あ、クリスさんに隙ができた。
逃げるが勝ち。
ススッと逃げる。
冒険者ギルドを飛び出して、その場から遠ざかりようやく安堵する。
冒険者ギルドは危険地帯。
認識をあらためる。
近づいたら死ぬかもしれない。
とくに、金の瞳のイケメンに注意。
結局、私でも倒せる魔物の情報は聞けなかった。
でも、佐藤君に会えて良かった。
元気そうだったしね。
ため息をひとつついて、前を向く。
しっかりしなきゃ。
これからは、自分の力で生きていくのだから。
薬師ギルドに戻りお昼ごはんを食べる。
アイテムボックスから、トマトと卵の炒めものとボア肉の焼いたものを取り出し、パン、スープと一緒に食べる。
コレはこれで、まぁまぁおいしい。
ふと思い付いてサキさんに頼みごと。
この世界の生理事情を尋ねる。
うん、布ナプキンか、やっぱりね。
生理が重い人は生理のとき休むことがある?
なるほど。
だから、生理の時専門の人材派遣があると。
重要なポジションの女性は替えが効かないので、人材派遣せずに布ナプキンの交換を頻繁にトイレでする?
それは大変。
サキさんは人材派遣をしてもらうタイプ、で、そろそろ生理がくると。
うん、この世界の人にモニターになってもらおう。
まずはサキさんになってもらう。
痩せているので、M~Lサイズの生理用ショーツと、普通の昼用ナプキン、多い日用ナプキン、夜用ナプキンを渡して使い方を教える。
あ、まず、ショーツのゴムに興奮してる。
いや、モニターしてもらいたいのはナプキンだから。
ナプキンがメインだからね。
しっかりとそのあたりを説明する。
「わかった、任せて」
いい笑顔で引き受けてもらう。
上手くいったら商業ギルドに売りに行こう。
情けは人のためならず。
他人に優しくしていれば巡り巡っていつか優しくされる。
信じることが大事。
毎月のことだから、この世界の女性たちも、多分困ってるんじゃないかな。
地球の物を使うけどこれぐらいはいいと思う。
生理の布ナプキンの生産元からは恨まれるかな。
とはいえ、布ナプキンでは不便だろうし。
いいや、なるようになれ。
最終的には商業ギルドに何とかしてもらおう。
今日はもうポーション作りは終わっているし、たまには休んでもいいだろう。
部屋でゴロゴロすることに決めた。




