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100話 提案

 相談をされたエリク君はすごく残念そうにしていましたが、マリアさんは納得した様子です。


 ただ、エリク君は心配していることがあるようですね。私がいたときのようにおいしいスープが出せなくて、お客さんに飽きられるのではないかということです。


 その話を聞いたマリアさんが悩んでいます。


 エリク君もですね。


 マリアさんとエリク君が二人で相談をし始めましたよ。


 私は暇です。


 何か面白いことがないかと、周りを見渡します。


 カタカタと音がする方を見ると、リリアちゃんが食事をした人たちの食器を一生懸命洗っています。


 元々エリク君とリリアちゃんの二人でやっていた屋台ですから、リリアちゃんが働き者だということは当たり前なのですが、まだ小さいのに偉いですね。

 

 今も古ぼけた踏み台の上に立って一人で頑張っています。


 そういえば、この前焼いたクッキーがたくさんありましたね。


 あれを半分渡しましょう。


 ごそごそと、クッキーを保存袋に半分入れます。


「リリアちゃん、お疲れ様、良かったらこれもらってくれるかな? 私が焼いたのだけど」

「これはなぁに?」

「クッキーと言って、甘いお菓子だよ」

「お菓子!?」


 リリアちゃんが驚いています。目はクッキーに釘付けですね。


「甘いの?」

「甘いよ」

「……いいの?」

「いいよ」


 リリアちゃんが恐る恐るクッキーの入った袋を手にし、マリアさんのところに行きます。


「お母さん! もらったの、甘いお菓子だって」

「まぁ!」


 リリアちゃんがクッキーをマリアさんに見せています。


 マリアさんが慌てて私のところに来ました。


「すみません、お菓子なんて高価なものまでいただいて」

「いえ、いいんですよ、私が作った物ですから、お口に合えばよろしいのですが」

「まぁ、お菓子まで作られるんですね」

「簡単ですから」

「簡単……商業ギルドや貴族の料理人たちしか作ることが出来ないのに」


 なにやら、簡単ということがこの世界では知られていないようですね。


 まぁ、材料も高価ですから、仕方がないかもしれません。


 エリク君が近寄ってきました。


「すみません、お聞きしたいのですが、お姉さんの屋台ではもう働く人は決まっているのですか?」


 なにやら、真剣な目をしていますね。


「元々私一人でやるつもりだったから、いないよ」

「それなら、僕を雇ってくれませんか? 報酬はお姉さんの使う食材と交換で……母と相談したのですが、やっぱり元の塩味だけのスープだとお客さんががっかりすると思うのです。少しでもいいので、お姉さんの食材を分けてくれませんか?」


 エリク君を雇う? 考えてもいなかったけど、一人で屋台をやるよりもずっと効率がいい、だけど……。


「ここの屋台はどうなるの?」

「妹と母がいればなんとかなります」


 うーん、エリク君はお金の計算も出来るし、ハキハキとした受け答えも出来る。


 いい話じゃないかな。


 雇っちゃいますか。

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