10話 女神降臨
薬師ギルドに戻り昼食を食べ、サキさんと一緒に洗い物を済ませる。
さて、料理だ。
雑貨屋で買ってきた器を洗い、トマトをざく切りにした。
卵2個を割り塩少々と牛乳を入れ、よくかき混ぜる。
フライパンに油を入れ、卵をふんわりと炒め、皿に移して、空いたフライパンに油を入れ、トマトをよく炒める。
トマトに火が通ったら、卵を戻し入れ、塩をほんの少し入れて軽く混ぜる。
雑貨屋で買ってきた器に入れてみる。
うん、こんなものだろう。
本当は中華だしの素とか、顆粒の鶏ガラスープとかオイスターソースで味をつけたかった。
ないので仕方ない。
ま、食べたかったトマトと卵の炒めものだ。
出来上がって満足だ。
続いて、ボア肉の調理をはじめる。
肉が半冷凍でないので切りにくい。
なるべく薄切りにして、油で炒め、塩で味付けをする。
器に入れ、アイテムボックスにしまう。
そうして、使った調理器具や皿を洗い、部屋に戻り下級ポーションを作る。
いつもと同じ30本。
料理関係が思った以上にお金がかかる。
衣食住の衣類もかかるし、多分、不動産関係の家などもかかるだろうし、全然上手くいかない。
あー、どうしよう。
女神のお気に入りなんて嘘だよ。
嫌われてるよ。
安全だった地球から連れて来られて、家族とも離ればなれ、異世界では安心出来ない暮らし。
「もう、ウンザリだよ」
泣き言を言ってみる。
「※※※」
「ん?」
なにか聞こえたかな?
「ハロハロ、由紀ちゃん。元気ないねぇ!」
女神様だ。
こんなとき、なんて言えばいいんだろう。
家に帰りたいと言いたいけれど、家には帰れないようなことを言ってたし、どうすればいいんだろう。
とにかく、メチャクチャ困ってます。
「わかったよん。で、どうしたい?」
「え?」
頭の中で考えていたことがバレているのだろうか。
「バレているわよー。というか、困ってるんでしょ?呼んでよー」
いや、そんなに軽く言われても……。
目の前が光輝く。
パアッと一瞬強い光が射し、眩しいので目を閉じる。
目の前に女神がいる。
なんで?
頭の中は疑問で一杯。
「衣食住ねー、住宅はともかく、衣服と食べ物は地球から持ってくればいいかなー?」
「え?え、なんで?どうしてここに?」
「私、地球の神様と違って間接的にはやらないのよー、あそこイエス・キリストで直接やったけど人間たちは皆、信じなかったからねー、今も地球では間接的にやってるみたいだけど、この世界は直接やっても問題なかったから直接私が関わることが多いの、だけど、人は選ぶけどね。安全第一」
「……」
……イエス・キリスト……。
何も返事が出来ない。
沈黙だ。
思いっきりタブー。
遠藤 周作先生が小説で思いっきりやってたけど、基本的にあの先生はクリスチャンだ。
私のような人間がなにか言えるわけがない。
女神様は気にせず言っているけど、地球でそんなことを言ったら、バッシングをされるだろう。
しかし、間接的にとは……気がつかないけど地球にはメッセンジャーがいつの間にかいて、人類に警告がなされていたのかも知れない。
異世界に来てしまった私には、もう関係ないけどね。
「ま、そんなに深く考えなくていいよ♪」
「……」
「気楽に行こうよ、気楽に」
胃が痛い。
めまいがしそう。
誰か助けて。
「ポーションを飲めば大丈夫だよ。だけど、飲まなくても平気そうだけどね」
「……」
「話は変わるけど、欲しいのは醤油だけ?違うでしょ?何が必要かなぁ?」
醤油以外……味噌だって必要だし、米も欲しい……そして、毎月ある生理。
生理用品、生理用ショーツ。
この世界には、生理の際の必需品がない。
あったとしても、多分、布ナプキンだ。
それは嫌。
……新品の服も欲しいし、この世界のショーツは紐で縛る、必要だったから買ったけど、地球のゴムのショーツも欲しい。
欲しいものがありすぎて気が遠くなる。
「……」
「うーん、欲しいものがありすぎるか。スーパーとドラッグストア、あとは、衣料品店、そこにある商品を取り寄せられればいいかな」
「地球にあるものを取り寄せてもいいの?」
「大丈夫」
スーパーやドラッグストアはありがたい、他はどうかな? 多分、絶対ホームセンターも必要になる。
私の頭の中では様々な欲望が生み出される。
「ホームセンターかぁ、いいよ♪」
「いいんですか?助かりますけど」
「で、他にはないの?」
……欲望が抑えきれない。
「デパートなんて駄目ですか?」
周作先生大好き。




