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『ひとりかくれんぼ』を実施した

「ひとりかくれんぼ」とは降霊術の一種である。呪術的な手法によって人形に霊を降ろし、様々な現象を起こす儀式である。

本実験では、実際に「ひとりかくれんぼ」を行うことで起こる現象を記録することが目的である。



実験概要


器具、素材等


高さ10㎝のテディベア、名前は『クマ子』

赤い綿糸

白米

10%食塩水、コップ1杯(200ml)


実験の手順


① ぬいぐるみの綿を取り除き、代わりに米を入れ、赤い糸で縫い合わせる。

② 浴槽に水を張り、ぬいぐるみに向かって「最初の鬼は私だから」と3回唱えてから、ぬいぐるみを浴槽に沈める。

③ 家の照明をすべて消し、目を瞑って10秒数える。

④ カッターナイフと食塩水を持って浴室に行き、「クマ子見つけた」と言ってぬいぐるみをカッターナイフで刺す。

⑤ 「次はクマ子が鬼だから」と唱え、リビングにある戸棚の中に隠れる

⑥ 1時間隠れたら、口に食塩水を含んで戸棚から出る。

⑦ 浴室に向かい、ぬいぐるみにコップの食塩水をかけ、口に含んだ食塩水もかける。

⑧ 「私の勝ち」と3回唱える。


 浴室とリビングにそれぞれ、デジタル温度計1台と、カメラ2台を設置した。カメラは、温度計を映すもの2台、浴槽内を映すもの、隠れ場所の戸棚を映すものの計4台。また、実験中は実験担当がハンディカメラを持ち歩く。



実験記録

 実験は7/3の午前3時から開始。前日は雨が降っており、湿度が高かった。撮影者は薄手の長袖シャツと長ズボンを着用。「少し暑いが汗をかくほどではない」とのこと。

 以下、実験中に起こった現象をタイムラインで表したものである。


2:55 撮影者が米を詰めたぬいぐるみと食塩水を用意し、浴室にスタンバイ。

3:00 撮影者が「最初の鬼は私だから、最初の鬼は私だから、最初の鬼は私だから」と唱え、ぬいぐるみを沈める。ぬいぐるみは気泡を纏いながらゆっくり沈む。

3:01 撮影者が浴室の照明を消す。

3:03 リビングの照明を消し、目を瞑って10秒数える。

3:04 撮影者が浴室に戻り、「クマ子見つけた」と唱えてカッターナイフでぬいぐるみを刺す。続けて「次はクマ子が鬼だから」と唱え、再びぬいぐるみを沈める。

3:05 撮影者がリビングに入り、戸棚に隠れる。


3:12 浴室、リビングの室温が1℃低下。

3:13 浴室内の鏡に結露が発生し始める。

3:14 浴室のカメラにも結露が発生し、画面がぼやける。ぬいぐるみの存在は確認できるが、温度計の文字は読めない。

3:15 天井にも結露が発生し、水滴が浴槽に落ち始める。水音がカメラに記録される。

3:17 結露が落ち着き始め、水音がほぼ止む。

3:20 実験担当が「寒い」と呟く。リビングの気温は変化なし。

3:28 浴室のカメラに、水が滴る音と足音のようなものが記録される。ぬいぐるみカメラ、および温度計カメラには変化がない。

3:29 リビングのカメラでも足音が確認できる。足音は遠ざかっていくように聞こえる。実験担当は足音に気付いていない。

3:32 再びリビングで足音が聞こえる。実験担当が足音に気付き息を潜める。映像には何も映らない。

3:33 足音がリビングから遠ざかる。映像は変化なし。

3:34 足音は浴槽に移動する。水に大きな物が落ちるような水音が鳴るが、浴槽に変化があるようには見えない。足音が止む。

4:00 実験担当が口に食塩水を含んで戸棚から出る。

4:01 実験担当が浴室に入る。ハンディカメラで浴室内に発生した結露の様子を撮影した後、浴室内の固定カメラについた水滴を袖で拭き取る。

4:02 ぬいぐるみを浴槽から出し、コップの食塩水と、口に含んだ食塩水をかける。「私の勝ち、私の勝ち、私の勝ち」と唱える。


実験終了


実験結果

 予測されていたぬいぐるみの変化はなかった。後日条件を揃えて実験したが、結露の発生は見られなかったため、『ひとりかくれんぼ』による現象の一部であると考えられる。

 足音と水音に関してだが、水音は発生していたものの水面に変化がなかったことから、物理的な干渉ができる現象ではないのかもしれない。


総評

 危険度の低いとされる『爪』を用いた実験であっても、不可解な現象が発生した。『ひとりかくれんぼ』は非常に危険な降霊術である。



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