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第1話 片翼

ご覧いただきありがとうございます!

初投稿でわからないことだらけなので感想から

ご指摘頂けると嬉しいです!


では、お楽しみください!


 キンッ…ガギン…


金属と金属が重なり合う音が鳴り響く。


鎖に繋がれた俺の腕は脱臼している。


同じくカノンが正面で鎖に繋がれぐったりしている。


憎い憎い憎い憎い憎い


なにもできない自分が憎い。


いっそ夢ならば…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第一話 《片翼》



「......ウ」

「...ョウ」

「ショウ」


静まりかえった教室の中で俺を呼んでいる声が、運動部の掛け声と混じりながら聞こえてくる。

俺は夢うつつの中、顔を上げるとオレンジ色の夕陽に照らされた教室のホコリがキラキラと反射してとても幻想的だった。

すぐ隣でカノンが不満げな顔をしながら俺の体を揺すっている。


「早く帰ろ?」


そういうとカノンは俺の机の中身を鞄に入れてくれた。

ふと、時計を見ると長針が5のあたりを示しており、放課時刻と照らし合わせ自分が何分寝ていたのか

計算しながら、カノンと机の中身を移すのを手伝った。

横目で見たカノンの顔はとても美しかった。


校舎を出た後、運動部の冷やかしに対応しながらいつも帰る道を通り、家路に着く。

カノンの家が隣にあるということもあって2人で帰るのが当たり前になっていたのだが、世間一般的に見れば、高校生の男女が一緒に帰ると交際してると思われるのは無理もないだろう。


家の前に着いた頃、カノンはじゃあねと言って隣の家へ入っていった。


「ただいま。」


誰も返事はしない。

まぁそうか。親は3年前に交通事故で死んだ。その時、おばぁちゃんの家に引越してきたのだが、その5日後におばぁちゃんも心臓麻痺で亡くなった。親戚はみんな俺の事を気味悪がって引き取ろうとはしなかった。

だから俺は今もバイトをしながらおばぁちゃんの家に住み続けている。木造建築の昔ながらの古風な家だ。


俺は、自分の部屋まで行きベッドに倒れた。

今日はなんかとても疲れた。時計を見るとまだ5時30分だった。

あ、、、風呂に入らなければ…。

頭では分かっているものの、体が動かない。

まぁいいか。だんだんと体がベッドに沈んでいく。

と、同時に意識もだんだん遠のいて行った。


チュンチュン…

ポーポポッポポー

カチッカチッ


スズメと鳩の大合唱と共に時計の針が動く音が聞こえてくる。

ベッドから起き上がり時計を見ると朝の8時だ。

やけに背中が痛い。

少し寝すぎたのかなと思いつつ、リビングに行きテレビをつけた後、洗面台に行き顔を洗った。

そして顔を拭いて鏡を見た。


「、、、は?」


自分の姿を見て驚愕した。

これは決して顔がおかしいなどの自虐ネタとかではなく、

背中に自分と同じ大きさぐらいの真っ白の天使の羽のようなものが生えていたのだ。

しばらく現状が飲み込めずフリーズしていた。


て、てん、てん、天使のは〜ねっ!


ランドセルのCMが静寂の奥から聞こえてくる。


「うわぁぁぁあ!」


俺は思い出したように叫んだ。

なんでこんなものがついてるんだ。おちつけ俺。

これは夢だ。そうだ夢だ。と思いながら小指をおもいきり洗面台の下にぶつけた。


「痛いじゃねぇかぁぁぁあ!」


もちろん痛い。とても痛い。

夢じゃないとしたらこの羽はなんなんだと考えてたとき、

ガラガラと玄関の開く音が聞こえてきた。と同時に騒音と共に誰か

が走ってくる音が聞こえた。


「ショウ!」


カノンの声だとすぐに分かった。その時、洗面所の扉が激しく開いた。

2人は向かい合った瞬間、言葉を失った。


静寂の奥ではランドセルのCMではなく、戦隊モノのオープニングが始まっていた。







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