第2話(新)
何故お前がここにいるんだ!?
「えっと…………。」
なんとか混乱から抜け出せた俺は優香に尋ねようとした。
「こんな美少女を雑に扱うなんて酷いよ…………。裕太…………。」
「自分のことを美少女なんて言うなよな…………。」
俺は思わず優香の言葉に突っ込んだ。
「あっ…………! い、今のは皆が私に言ってくる言葉をそのまま言っただけだからね!?」
慌てた様子で補足説明を入れる優香。
「はぁ……。まぁ、そんなことは分かっているから安心しろ…………。」
優香がそんなことを本心で言うはずがないことぐらい分かっている。何年一緒に過ごしてきたと思っているんだ! 中学生時代は疎遠になっていたが、その期間以外はほとんど一緒な時間を過ごしてきた幼馴染をなめるな!
「それでだな…………。」
「うん…………。」
「何でお前がここにいるんだ?」
「何言ってるの? ここに来たのは裕太に会うためだけど…………。」
嘘を言っているような感じはないが、本当の理由を言ったわけではないように思える。
「ほ…………「ねぇ、裕太…………。」ん? なんだ?」
俺は優香に改めて聞こうとしたが、途中で止められた。
「お前って呼ばれるとなんか嫌な感じがするから、昔みたいに優香って呼んで。」
「分かった、分かった。昔みたいに優香って呼ぶよ…………。」
「で、話を戻すが、本当の目的はなんだ?」
「ご飯を食べさせて!」
「はぁ? どういう意味だ?」
何言ってるんだ? いや、ほんとに。ただご飯を食べるためだけにここまでやってきたと言いたいのか優香は? もっとましな嘘もあるだろうに…………。優香は嘘が苦手なのか? いや、それはないな…………。
「言った通りだよ! だから、お願い! 今、わたしお腹が空きすぎて倒れそうなの!」
「買えばいいだろ! 買えば!」
なんで俺が優香のご飯まで作らないといけないんだよ…………。今まで疎遠だったのに突然現れたら、ご飯を食べさせてくれだと? どう考えても可笑しいだろう…………。
「なんでわざわざそんなことのためだけに俺のところまで来る必要があるんだよ!」
「いや、あの…………。それは…………。その…………。ゆ、裕太のご飯が久しぶりに食べたくなって…………。」
何かもごもごと言っているが全然聞き取れない。それに何で俯いて、俺に聞こえないように話すんだ? 理由に何か恥ずかしいことでもあったのだろうか?
「う~~~~! そ、そんなことどうでもいいじゃない。」
何がいいのやら…………。意外と重要なことだと思うんだがな…………。
「と、ともかく! こんなことを頼めるのは裕太だけなの。だから、お願いします!」
そうやって、優香は手を合わせつつ俺に頭を下げてきた。
普通ならここで優香のお願いを聞くのかもしれないが、俺はそんなことしない。ドアを閉め、鍵もきちんと閉める。
「えっ?」
聞いても良かったと言えばそうなのかもしれないが、厄介ごとに巻き込まれそうな予感がしたので避けておく。
『ドンドン!』
「開けてぇ~~。お願いだからぁ~~。ご飯食べさせて~~~~。」
ドアを両手で叩きながら、優香が泣きそうな声で訴えかけている。いや、もう半泣きになっている。それでも俺は彼女を自室に招き入れるつもりはさらさらない。
「よくもこんなことをしてくれたわね………。首を洗って待っていなさい………。この事は一生忘れないから……。」
俺は優香から出てきた負のオーラにびくりと身体を震わせた。あっ、これはヤバい…………。本気で怒ってるかも…………。
ははははは…………。これからは優香を避け続けないといけないのかな…………。でも、避けても結果的に自分の首を絞めそうだしなぁ…………。
はぁ…………。これからどうしよう…………。
いろいろとやらかしてしまった裕太であった。
久しぶりに一人称で書いてみたせいか、すごく難しかったです…………。書きやすいかなと思ったのですがね…………。本編は三人称でやっていくので大丈夫だと思います。と、ともかく、本編の方もよろしくお願いします。