さくら
この作品は自分のものではありません。他の人が書いた、その人の作品です。
彼には時間がありません。
あといくつ自分に頼むかもまだわかりません。
けれどもどうか、どうか彼のために心のどこかで覚えていてください。どうか彼のために、私ななるからのお願いです。
ソメイヨシノはまだ咲いてもいないのに
桜の歌を歌って学校を離れる
ソメイヨシノは蕾をつけて
桜の歌を待ち望む
ソメイヨシノはいつまで
今日という日を覚えているのか
幾千という人の思いを抱いて
幾千という花を咲かせてきた
雨に流されたその薄紅の花弁は
根から登ってまた蕾に戻る
ソメイヨシノは歌われる
幾千の心を込められて
ソメイヨシノは歌ってる
幾千の花を輪廻させて
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文字数が余ったのでななるから少し小話を。
この詩が送られてきたのは3月1日の午後五時すぎでした。
その日は彼の病院の近くの高校で卒業式があったそうです。
彼の部屋から黒い制服の卒業生たちが、粒のようにしか見えなかったそうですが、色々と考えることがあったそう。
自分の高校も黒い制服でした。
卒業式のあとの最後のホームルームで生徒一人一人がひとことずつ言う機会がありました。クラスメートは進学についてだったり、両親への感謝だったりを言葉にするなか、ななるが言った言葉。
『この黒い制服が色あせても、絶対に鮮やかなこの三年間』
とまあ、臭い言葉を残して、思い出す旅に赤面しています笑
大嫌いだったダッサイ制服。もう着ることのない黒い制服。そう思ったら、寂しくなって、『ああ、終わったんだ』なんて思ったりして………でも、全く終わりじゃないですよ。高校が終わっただけで、なにも終わりじゃないんですよ。だからもし、高校生やその他学生の皆さんがこれを読んでいたら、次の年度はしっかり楽しんでください。もちろん節度を守って、というかそっちの方が効率よく楽しめます。勉強でも、部活でも、学校関係ないことでも、なんでもいいからわりと本気でやってみてください。全力は疲れちゃうから。笑




