怪文書のその先に
今回(私にしては)長めです。
書ぎ方変えてみました。これから研究してくつもりです!
「分かるかい?アドルフ。」
『……は⁉』
(お、俺ですか⁉)
いや、いやいやいや……マジか。
思わず語彙が喪失する。……マジか。
「なにをしている。速くこれを受取れ。」
「……はい」
そう言うしかなかった。
っていうか、さっきからお嬢さんずっとニヤニヤしてるのが気になる。
振るえる手でそれを受け取る。
……ああ、なるほど。だから俺なのか。
"Dpnf up b upnc uibu xjmm opu cf dupmfufe gpsfwfs."
怪文書にはそう書かれていた。
一見、何語で書かれているのかも分からない、訳のわからない文だ。
しかし、この文にはある規則性がある。
怪文書というより暗号文に近い。
チラッとお嬢さんを見ると、分かったか?とでも言いたそうな顔である。
「分かりましたよ」
「おお!其れはおめでとう。」
「で、行くんですか?ここに」
怪文書を指で軽く叩く。
ニヤけるお嬢さんの横で浜松さんは不思議そうに首をかしげている。
「嗚呼、勿論だ。アドルフ、学校は何時からだい?」
そもそも、俺が日本に来たのは交換留学でここの大学に通うためだった。
「あさってからです」
もう、あさってか。
「ならば、一泊二日の小旅行だ。千尋!車は出せるか?」
「え、どうして?」
そりゃ、いきなり車出せって言われたらびっくりするよな。
だがしかし、そんな浜松さんをお構いなしにお嬢さんは話しをする。
「いいから車を出せ。行くんだよ!日光東照宮に!」
浜松さんはしぶしぶだが車を出してくれた、というか出さされた。さすがお嬢さん……
浜松さん曰く、もう慣れ切ったわ。との事。
「あの怪文書と東照宮、何が関係あるの?」
運転しながら、浜松さんが聞いた。
「あれは、ちょっとした言葉遊びなんですヨ。」
あの怪文書は英語のつづりをアルファベット1つ分ずらしたものだった。
いわゆるシーザー暗号た。
"Dpnf up b upnc uibu xjmm opu cf dpnqmfufe gpsfwfs."
は、つまり
"Come to a tomb that will not be completed forever."
すなわち
"永遠に完成しない墓に来い"
となるのだ。お嬢さんが英語圏出身の俺に渡したのもうなずける。
……と、ここまでは分かるのだが、そこから先は残念ながら分からない。
助手席のお嬢さんに助けを求める。
ミラーごしに伝わったのか、やれやれというぐわいに話しはじめる。
「……まず、日光東照宮は江戸幕府初代将軍、徳川家康を祀った一種の神社でもあるが、言ってしまえば家康のでっかい墓だ。」
へー、そうなのかぁ。
「次に、そこに陽明門という門が在る。それの柱は全部で十二本あるのだが、一本だけ『逆柱』と言って、逆さなんだ。」
逆柱のおかげで「満ちれば欠ける」という理のもと、満ちずに欠ける事を防いでいるそうだ。
「満ちずに欠けない」は「永遠に完成しない」と、いう事。
よって、来るべき場所は日光東照宮なのだという。
「なるほどね〜。『満ちれば欠ける』なかなか深い言葉ね。」
浜松さんが口を開く。
「満ちれば欠ける」か。
推理出来てるでしょうか(汗)
とりあえず、最後まで推理出来るよう頑張ります!