7 転校生はだれですか?
「今日から、このクラスの一員となる、佐藤時和です。よろしくお願いします!」
・・・今日未和のクラスに、転校生がやってきた。
どこかで見たことある気がした。・・・でも思い出せない。
その時、隣の席の野村和葉が、声をかけてきた。
「ねえ、あの子、すっごくかわいいね」
「和葉・・・私、あの子どっかで見たことある気がして・・・」
「・・・未和、私も。時和ちゃん、なんて子、知り合いにはいないはずなんだけど」
未和はちらりと未来を見た。
未来は何か、時和と話している。
(ねえ、ハートフル、バレてないの?)
(あったりまえでしょ。私のことを知ってるのは、未来だけなんだよ?)
未来は戸惑うように、なぜか自分を見つめていた。
「和葉、未来って、時和と知り合いなのかな?」
「え、そうだった?」
「だって、今っ、話してたの。2人で!」
「未和は国村くんのこと、好きなんだー。まあ私は・・・」
和葉はちらりと、教室の後ろの方を見た。
「あれ、雄大ですか。恋する乙女ですか。へぇへぇ」
「未和だって、国村くんと恋しちゃえばいいじゃない」
和葉に言われて、未和はため息をついた。
「・・・未和はどうせ、恋、できないから。いいの」
「え?」
そう言った時だった。
「未和・・・ちゃん、だよね。ちょっと、いいかな?」
時和に言われ、未和はおずおずとついていった。
「未和、私のこと、覚えてる?」
「え・・・時和ちゃんのこと?覚えてるって・・・初対面じゃないってこと?」
「・・・ほんとに忘れちゃったんだね。じゃあ、まあ言って思い出すかわかんないけど、言うね。・・・私、ハートフル」
「・・・ハート・・・フル?」
「魔女の、ハートフル。メルヘンワールドのハートフルだよ!」
「・・・?」
ハテナマークの未和に、時和はため息をついた。
「もういいや。なんでもない」
「え・・・」
「私の魔法、上達したのかなぁ?よかったー」
そんなことを言って帰っていく時和の顔はにやりと笑っていた。
未和はなぜか・・・とても嫌な予感がした。
「未来!」
「未和?」
未和は未来に向かって、そう叫んだ。
「なんだよ」
「また一緒に、メルヘンワールドに行こうね」
未和は確認するように、そう尋ねた。
「・・・」
未来は答えなかった。
「み、未来?」
「・・・俺は、もう行かない」
「え・・?」
「俺は、もう、・・・メルヘンワールドにはいかないし、未和と一緒にいるわけにいかないんだ」
「・・・何それ、どーいうこと?」
未和のその質問に、未来はこう答えた。
「・・・俺はここの人じゃない。でもお前はここの人だろ」
「・・・?」
未和は未来を見つめた。