5 魔法は恋のキューピット?
「未和ーーーー!」
あっちで未来の声がした。ほんとなら、顔を見たいけど、この気持ちがあふれてしまいそうで・・・未和は体を縮こませた。
「あれ、未和!こんなところでなにしてるの?」
顔を上げるとそこにいたのは、魔女のハート・パワフル・ミクロだった。長いから愛称はハートフル。
「ハートフル?」
「やほ~。なに、落ち込んでたの?」
「・・・ハートフル、未和は、メルヘンワールドに存在する「天使」だよね?」
ハートフルはきょとんとした。
「うん、そうだね?」
「・・・だよね。・・・未和、人間と恋しちゃいけないよね?」
「えっ!未和まさか、あの男の子のこと・・・」
「・・・未和は恋できないんだ。そうだから、あきらめたい・・・んだけど・・・どうすればいいの?ハートフル」
すがるように見つめてくる未和を見て、ハートフルはうーん・・・と考えた。
「未和の本名って、なんだっけ?」
「ミライ・ワクワク・ハッピーライフ」
「・・・そんな名前だったっけ?未和としか呼んでないからな・・・」
ハートフルはため息をついた。
「まずそのなっがい名前を何としても変えなきゃね。人間の名前じゃないよね」
「え?未和は、あきらめたくて―――――――」
「山本未和、だっけ?その名前ってどうやって?」
「山本ってのは人間界に比較的多い名前らしいから。だから、それにしたの」
「じゃあその名前を、実際の名前にしてあげる!」
そういうとハートフルは、杖を振った。
キラキラッ
「・・・え?」
「これであなたの名前は、本当に山本未和になったよ」
ハートフルは近くにいたエルフに尋ねた。
「この子の名前って何だっけ!」
「何言ってんのさ、ハートフル。山本未和、でしょ!アタイ忙しいから、じゃーね!」
エルフはそう言って飛んで行った。たしかに、山本未和、と言ったのだ。
「ね?」
「・・・う、うん」
「大丈夫だよ、未和は、私が魔法で必ず人間にするから!地道に頑張っていこ。恋をかなえるには、この方法しかない」
「・・・恋が叶うのかな・・・?」
未和は考えた。
ハートフルに魔法で人間にしてもらえば、未来との恋が叶う。未和は未来と無事結ばれる――――・・・。
「・・・わかった!」
「うん、未和。じゃあ次は、未和の家を作るから―――――――」
ハートフルと未和は、次々に人間への準備を進めていった。
「最後にこれだね。未和、いい?」
「・・・え?」
「・・・今から未和は、ここのメルヘンワールドの住人じゃなくなり、人間になり、ここの世界のことを忘れるの。もう天使の羽も出ないし、・・・私のことも、代表のことも、クラゲもヒトデも忘れちゃう。こっちも未和のことを忘れちゃうの。・・・それでもいい?」
「・・・え?」
未和はまっすぐに、ハートフルを見つめた。
「え・・・っ・・・?」
「・・・どうする?未和」
ハートフルの声がものすごく遠くから聞こえた―――ような気がした。




