4 人魚に恋をされました
「おはよう、未来。今日は土曜日だよ。さあメルヘンワールドに行こう!」
「・・・むにゃむにゃ・・・もう少し眠らせて・・・」
「おはよう、未来。今、あなたの家の前にいるの・・・」
「・・・んん?」
「おはよう、未来。今、あなたの後ろにいるの・・・」
「ひいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」
未来が飛び上がると、下から声が聞こえた。
「おきた、みーらいっ!おはよう!」
「・・・お前なぁ・・・」
しかたなく着替えて家を出て、メルヘンワールドへ行く未来だった。
ぐぅぅ・・・
「俺、朝ごはん食べてないんだけど。腹減ったよー・・・」
「あ、じゃあ―――――――」
「それなら、これ食べる?」
水の中から声が聞こえて、未来は驚いて振り返った。
「えっ、・・・君は・・・」
「私、人魚のヒトデっていうの。よろしくね、未来くん」
「・・・に、人魚・・・」
くらくらしてきている未来の横に、ヒトデは出てくると、手の上に何かを乗せた。
「な、何これ?」
「これは、レインボーフィッシュの刺身だよ。食べてみて!」
れ、れいんぼー、ふぃ、ふぃっしゅ、の、さしみ・・・未来が呪文のようにとなえながら食べてみると・・・
「ん、うまい!」
「でしょ!」
「ありがとう、ヒトデ!」
ニコッと笑う未来にヒトデは顔を真っ赤にした。
「未来くん・・・です、か?」
「え、また人魚?」
「・・・あ、・・・えと・・・わたしは、クラゲといいます。・・・未来くんがここにいるって聞いて一度顔を見てみたくて・・・」
「ク、クラゲさん」
「クラゲでいいです。・・・わたし、好き・・・です」
「なにを?」
「未来くんを・・・です」
「・・・・・えぇぇぇぇぇっっっ!!!???」
未来の声に、未和はふてくされたようになった。
「未来!付き合うの?ねえ?ねえねえねえねえねえねえねえねえね」
「ちょっと待て未和!落ち着けよ」
未来は未和の口をふさいでそういった。
「俺はメルヘンワールドのやつと付き合うなんて無理だよ。俺は普通に、人間界の人と恋したいんだよ」
「・・・え?」
そう声を発したのは、・・・未和だった。
「・・・あ、そうか・・・」
「は?」
「・・・もういい。未来なんて大っ嫌い!」
未和はそう言うと走り出した。
「え!?」
「・・・あれ?私・・・」
未和は自分で自分に驚いた。
走り出している?
「ちょ、ま・・・」
「行くよ、クラゲ!」
「はいっ、ヒトデ!」
未和は自分の気持ちに気が付いた。
「私・・・未来のことが、本気で好きだ」
でも恋はできない。分かっていた。
『メルヘンワールドの住民は、他の国の者と恋をしてはならない』
未和の持つ『決まり手帳』には、そう書いてある。




