2 おかしな女子に連れられて
「おっそいよー、未来ーっ」
「ごめん、ごめん。で、何の用だ?未和」
未和は真剣な目で、未来に尋ねた。
「未来がファンタジーなことを信じないのは、見たことがないから。じゃあこの目で見れば、信じてくれるんだよね?」
「・・・あぁ。信じてやるよ」
未来の一言に、未和はほっとしたような表情になった。
「よかったー。じゃあ行こ!」
「・・・は?どこに・・・」
「決まってるでしょ!メルヘンワールド」
「・・・未和、かえって来いよー!!!!」
未来の叫びを気にせず、未和。
「早く入って未来!」
「もうどうにでもなれぇ!!!」
未来がふと目を開けると――――――――
「・・・ここ、どこだ?」
「メルヘンワールドだよ。上見て!」
パッと上を見ると、そこにはほうきで飛んでいる魔女がいた。
「・・・はぁ・・・?」
「あっ、あっちにも!」
今度は横を見る。
妖精の羽がついてる女の子が、キラキラ、虹色の粉?を振りまきながら舞っている。
「・・・俺、死んだ?」
「生きてるよ。未来、大丈夫だって!」
「だって、妖精や魔女が」
「えいっ」
パチン!
力強くほっぺをたたかれて、未来はやっとこれが夢じゃないと分かった。
「・・・え・・・?」
「ここはメルヘンワールド。魔女や妖精、人魚、天使、悪魔、などなど。未来が信じなかったものたちがここにはぜーんぶ集まってるんだよ!」
未来はもう1度、あたりを見回した。
「あら、・・・もしかして、男の子!?!?」
「みんな!!未和が男の子を連れてきた!!」
と、あっという間に、メルヘンワールド中の人・・・いや、人じゃなくて・・・もの?が集まってきた。
「人間なの!?」「すごいっ!!」「名前は!?」「何歳ですか!?」・・・一度に色々聞かれて、未来がすっかり困っていると、未和が前に立った。
「みんなごめんね。未来っていうこの人は、ここのことを信じていなかったの。だから今は、あまり話しかけないで。かえってびっくりさせちゃうだけだから」
未和はそう言うと、未来の手を引っ張った。
「こっちに、代表がいるから。まずはあいさつしに行こう!」
「・・・だ、代表・・・?」
「こんにちは、代表!」
「こんにちは、未和。あら?後ろの男の子は・・・」
「あ、えと。く、国村未来です」
「こちらの男の子は、例のプロジェクトで連れてきました」
代表は・・・人魚のお姉さんだった。
「こんにちは、未来くん。私の名前は、レア。このメルヘンワールドの、代表取締役社長してるの」
「(この世界にもそんなのあるんだ・・・)あ、レア、さん。・・・よろしくお願いします・・・」
未来はちらりと、未和のほうを見た。
未和は「ん?どうかした?」と、いつもの笑顔で笑ってる。
どうして未和は、この世界の存在を知っているんだろう・・・?
「ねえ、未来!」
「ん、うん?」
「この目で見たんだから、信じてくれるでしょ。ね!」
「・・・あ、あぁ・・・」
未来は戸惑いの表情のまま、そう答えた。