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悲劇  作者: ねるこ
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無知

お手紙です。

お母さんへ、

お元気でしょうか?私は仕事も安定していてそれなりに幸せな日々を過ごしています。

今回、手紙を書こうと思ったのは私が家を出た今、お母さんに言っておきたいことがあったからです。


お母さん、覚えていますか?いえ忘れたくても忘れられませんよね。

あの辛かった日々。

嫌がらせの電話は毎日が当たり前、ここから出ていけなんて紙も玄関に貼られたりしました。

私も学校では当然いじめられていました。これは初めてお母さんに言いますね。当時の私は、お母さんに心配をかけたくなかったのです。といっても、今更お母さんを恨んだりだとか責めたりだとか、そういう訳ではありません。むしろ感謝しています。

だって、私、強くなれました。


あの件の後、私ね、復讐をしたんです。私とお母さんをいじめた人たちに。

可愛いあの子の髪をハサミでバッサリと切り、切った髪を口の中に入れたりしました。

人気者のあの子の足をプールで下から引き、溺れさせたりしました。

お洒落が大好きなあの子のランドセルと体操着をズタズタにしたりしました。

美人なあの子のお腹を何度も何度も蹴り、吐いた吐瀉物を顔に塗りたくったりしました。

生意気なあの子の給食に犬の糞尿を入れたりしました。

頭が良いあの子の教科書とノートを全て焼いたりしました。

気が強くて嫌なあの子の片目を鉛筆で潰したりしました。

あの子が大事にしていた野良猫を殺してあの子の家の玄関に飾りましたあの子が漏らした写真をばら撒きましたあの子を信号が赤になった瞬間道路に押して大怪我させましたあの子の処女を鉄パイプで奪いましたあの子を殺しました




最初はね、私たちをいいじめた人が憎くてしょうがなかったの。でも私、途中であることに気づいたわ。

元々の発端はお母さんだったね。あらお母さんが悪いって言いたい訳じゃないの、ただね、「いいひと」が馬鹿をみる世の中なの。

お母さん、優しくて哀れなお母さん、気づかなかったでしょうか?

教えてくれてありがとう、お母さんのような人にはなりません。

もうお会いすることはないでしょう、元気でね
















あのね、大好きでした

成人した娘からのお手紙という形式にしました。

この物語はフィクションです。

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