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家に着くと春井が玄関まで迎えに来た。
「おかえり誠二。思ったよりはやかったね」
「はやく帰らないとどっかの誰かさんがうるさいからな」
「えー、誰だろうなー」
オレが皮肉を言うと春井がわざとらしくとぼける仕草をする。
そんな春井を見ながらオレは質問をする。
「それで?春井、オレのサインがいる資料ってどういうことだよ」
「あぁ、それね。まずね誠二には来週からシェアハウスしてもらいます!」
「は?」
シェアハウス、複数の人間と一つの家に住むこと。
うん。オレの知っているシェアハウスはこれだけだ。他の意味は知らない。
「シェアハウスって…シェアハウスだよな?」
「他にシェアハウスなんて言葉あるの?」
「いや…」
やはりオレの知っているシェアハウスのようだ。
「シェアハウスってオレと、あと何人いるんだ?」
「えーと、誠二とわたしと、あと三人は確実にいるね」
「最低でも五人か…。でも何でシェアハウスなんてすることになったんだ」
「わたしが誠二の監視をするため。でも二人だけだとアレだからシェアハウスだって」
春井がドヤ顔で言ってくる。
春井、監視されるのはおそらくお前だ。
そんなことは絶対に言えない。
「シェアハウスだから、部屋に引きこもって小説書いてないで、ちゃんと料理とかお風呂の掃除とかしなきゃいけないんだよ」
…来週なんて、一生来なければ良いのに。