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「もう少し、お話ししましょうか。三鷹さん」
固まるオレを無視して水岡は質問をする。
「三鷹さん。ハルイさんとどんな関係なんですか」
はたからみれば浮気を問い詰める彼女だがオレと目の前にいる水岡は今日知り合ったばかりの赤の他人だ。
そして、彼女は怒っている。理由はおそらくオレの春井への態度だろう。
「オレの…担当だよ」
「担当?」
「そう。オレ、小説書いてる人間だから」
そう言うと、水岡は驚いたような顔をしたあと、すぐに先程の怒ったような顔に戻った。
「担当なら、なおさらあんな態度、いけないでしょう」
「そうは言ってもな、何度もあんなやり取りしてりゃあイヤにもなるだろ。むしろあの態度になったのはあのやり取り始めてから十五回近くたった頃だぜ?よく耐えた方だと思うんだよね」
「じゅうごかい…」
水岡が怪訝な目でオレをみてくる。
「別に信じて貰わなくてもいいんだけどさ。ねぇ、もう質問にも答えたし帰っていい?さっきの会話聞いただろ?はやく帰らないとめんどくさいんだよ」
水岡は少し悩んだあと、頷いた。
「わかりました…。ですが今後あまりあのような態度はとらないであげてください」
オレはその言葉に肯定せず、否定もせず、ただ笑顔をかえし、ようやく、帰路についたのだ。