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幼少時代
昔からそうだった。
私ーはずっと家に篭り、耳を塞いでいた。
父と母は同じ村民から差別を受けていた。
勿論、私も家から一歩でも外へ出れば同じだ。
ある時は暴力を振るわれ。
ある時は借金を取り立てられ。
蔑んだ目を向けられ、とうとう両親は私を置いて逃げた。
遠く遠く離れた町で、二人は心中したと聞いている。
捨てられた。
棄てられた。
そんな現実を受け入れたくなくて、
必死に親類をあたった。
その中でただ一人、私を受け入れてくれる人がいた。
私の母の姉だ。
俗に叔母と呼ぶだろうか。
絶望の闇の中に、ただ一筋の希望。
自分は叔母と暮らすことになった。
当時は5歳くらいだったか。あまりよく覚えていない。
叔母は厳しかったが、優しくて好きだった。
家事の手伝いやらを毎日しているところに、
見たこともない美しい娘が見えた。
年齢は後々聞くと、私より一つ上らしい。
叔母の姉の娘、本堂ユリとの出会いだった。
この出会いは、いい意味でも悪い意味でも
「必然」だった。