新たな仲間?
あの広場のすぐ近くに小さな公園があったからそこのブランコに二人で腰かけている。
「なんでヒューマンの君がこの国に居るのかな?」
普通は推奨の国に……ヒューマンなら、アリティア王国に行くはず。それなのにこのマルネス王国に居る。詳しく聞かないとね。
「えーと……僕は……フリッグって神様知ってるかな?この世界の創始者の母親らしいんだけど……」
『あ!母上ニャ!』
「うん。知ってるよ。私はその創始者、ハイネルに転生させてもらったからね」
頭の中でハイネルの声が紹介しろ紹介しろとうるさいが、私以外には聞こえないはずなので無視に徹する。この面食いめ。
「それでさ……あのフリッグに色々聞かれて答えてたんだけど……」
「だけど?」
「最後の最後にフリッグがミスったみたいでさ……。この国に飛ばされたんだ。それでどうしようもなくて……」
「それであーなってた訳ね。納得」
「速水さんが助けてくれなかったら今頃どうなっていたか……ありがとうございました」
「嫌だなぁ、そんな他人行儀にされるとさ。ミオでいいよ。その代わり私もリク君って呼ばせてもらうからさ」
「あ、うん。わかった。えーと……ミオ」
簡単にコロコロ表情が変わる少年だなぁ……。思わずこっちも微笑んでしまうよ。
本当に同い年とは思えない。
とりあえず、ハイネル?聞いてたでしょ?フリッグさんにちゃんと言っておくようにね?
『でも……母上怖いんだけどニャ……』
でもじゃない!ちゃんと言っておくように!
『はーい……』
「ね、ねぇミオ?」
「ん?なんだい?」
「ここからアリティア王国まで行くのもあれだし……、女の子が一人で生きていくのも大変だろうし、さ。あの……えぇと……」
煮えきらない態度だなぁ……。何が言いたいのかは大体分かるけど、ここは言うまで待った方がいいかな?
「僕と……パーティを組まない?」
「うん。いいよ?じゃあ私から申請送るね?」
「う、うん!ミオが危なくなったら僕が助けるよ!」
お、意外な所で切り込んで来るね。でも、ステータスは防御も回避も私の方が高いって言った方が良いのかな……?いや、流石にそれは野暮って奴かな。
とりあえずさっさとパーティ申請してしまおう。
「パーティ申請、リク」
「よしっとこれでできた。よろしくね!ミオ!」
うん。よろしく。と言って微笑むと分かりやすく照れていた。あー、若いっていいなぁ……同い年だけど。
お互い今日は疲れたということで宿屋に泊まる事にした。宿屋の前で気付いたお金の問題も宿屋のおっちゃん曰く、
「あ?お前等転生者か?なら無料でいいぞ。その代わりしっかり魔王倒す様にな」
おぉ、無料とは太っ腹だねぇ。しかし、
「え?何で分かるんですか?」
「おいおい、少年。知らないのか?俺の目を見てみろ。渦巻いてるだろ?千里眼のスキルを使ったらこの目になるんだよ。千里眼は相手のステータスを見れたりするスキルだからな。最近は転生者を真似てくる奴等が多くてな」
「あれ?そういえばミオも最初そんな目じゃなかったっけ?」
しかし、巨大な爆弾を落としていきやがった。
ハイネルが『自業自得ニャね!ニャっはっは!』とか笑っている。次あったとき覚えてなよ。
「い、いや、気のせいじゃないかな?」
「そうかなぁ……そうだった気がするんだけど……」
なんとか誤魔化せた。宿屋のおっちゃんめ。巨大な爆弾を落とすなんて。リクが甘い性格で良かったよ。
「しかし、二人供パーティを組んでいるが同じ部屋にするのか?昨夜はお楽しみでしたねって言った方がいいか?別々にするならパーティは解散してくれよ?」
そうしないといけないならそうするしかないだろう。流石に男女同じ部屋はほら、モラル的に?あとハイネルの、
『なんだこのエロゲ展開……』
という言葉にイラっとして、ちょっと残念そうなリクを尻目にパーティを解散して、それぞれの部屋を借りている。
なかなか大きな部屋だね。テーブルと椅子、シングルにしては大きめなベッド。
あ、シャワーもあるんだ。浴びておこう。
シャワーを浴びてるとハイネルの『あ、新しい転生者が来たニャ。ミオと同じ国に送っておこっと』という言葉を聞いて、小1時間説教して、ベッドに入るとすぐさま眠気が襲って来た。
特に逆らう理由も無いし、落ちていくまぶたに任せて夢の中に落ちていった。
感想をもらえるとゆっくりがゆっくりしてゆっくりしちゃいますよ?




