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異世界の生き方  作者: 水無月奏
第一章 転生からの自己強化
5/8

同じ境遇

っとと。危ない危ない。急に地面が出てくるからこけそうになったよ。全く、気が利けないねぇ。

と、まぁ愚痴を溢しながら顔を上げると、


「う、うわぁ……ファンタジーだねぇ……」


ファンタジー、そうとしか表現出来ない光景が広がっていた。

歩く猫耳、尻尾の獣人。

テカテカした鱗をした二本足で立っているトカゲとしか言えないようなリザードマン。

やっぱり金髪や蒼髪で黒髪が少ないヒューマン、人間。

背中に羽が生えていて、様々な色で意外に手のひらサイズじゃなくて少しちっこい人間くらいの大きさの妖精達。

それぞれの種族が楽しそうに歩いている。

右に目をやると、屋台が並んでいて、おっちゃん達の張り上げる声が聞こえる。

左に目をやると、綺麗な門があって鎧に身を包んで、多分狩りか何かに行くんだろう。皆物々しい顔をしている。

そして正面に顔を向ければ、物凄く違和感のある少年がキョロキョロしていた。


『フフフ、初めての異世界でびっくりしてるニャね?』


なんだろうあの子。この辺りでは珍しい黒髪のヒューマンだ。

といっても私も黒髪のケットシーなんだけどね。

だけど私のみる限りにはこの辺りには黒髪黒目のヒューマンなんて中々見ないし、ヒューマンは金髪、蒼髪、赤髪など派手な髪が多くて、黒髪黒目はちょっと珍しい。


『あれ?おーい!聞こえてるニャ?』


でも明らかにオカシイのは、服装と挙動。

他の人達は草を編んだ様なワンピースや簡素なものや、ガチガチの鎧に身を固めているかのどちらかだが、あの少年は明らかに日本で作られたようなジーパンと黒いTシャツを来て、キョロキョロ、辺りを見回している姿はストーカーか、変態にしか見えない。


『あ、速水!僕を無視してるニャね!?』


周りの人にも遠巻きにされてるし、若干涙目だし。ちょっとかわいそうかも。声かけてあげたほうがいいのかな。多分同じ転生者だろうしね。


『速水ぃ……テレパスなんて取るの速水が初めてなんだしさぁ……無視しないでよぅ……』

「あー、もう。何なのさ。ハイネル?」

『あ、やっと反応してくれた!もー、無視しないでよね!』

「はいはい。ゴメンゴメン」

『それで、どうニャ?マルネス王国は?今はまだテレパスのレベルが低いから音声しか届けられないけどニャ』

「あぁ、最高だよ。それよりもテレパスにレベルなんてあったの?」

『Lv1で音声だけ、Lv2で静止画も、Lv3で映像って言う風にだんだん機能が増えていくニャ』

「へぇ……それじゃまた後で連絡するね」

『それが……速水……テレパスって取った瞬間から死ぬまでずっと繋がってるんだけど……』

「はぁ!?それじゃプライバシーとか何にもないじゃん!もっと早く言ってよね。……まぁ仕方ないか」


とりあえずハイネルを無視してさっさと少年に声を掛けることにする。完全に泣いてるみたいだし。

折角の初めてのコンタクトだ。スキルを使ってみよう。


「スキル:お喋り上手 ON」


スキルの使い方は事前にハイネルに習っていたので問題無く使えた。

その言葉を口に出した途端自分の声に何かが乗っかっているかの様な違和感を覚える。

その違和感を振りきり、少年に声を掛ける。


「ねぇ君、大丈夫?」


少し微笑を浮かべて、ハンカチを差し出しながら話しかける。

ここでニコッと微笑んでみせるのがポイント。

ハイネルの『猫被り上手いニャ……』という声を無視して少年を観察する。

中肉中背くらいで年齢は私よりちょっと下の……中学2年生くらいかな?


「えっと……君は……?」


ハンカチを私から受け取り、涙を拭ってこちらを見る少年。目の色も黒でくりくりしててちょっと可愛いかも。


「私?私は速水澪。君と同じ転生者だよ。君は?」

「ぼ、僕は……室屋(むろや)(りく)。僕も転生者だけど……」


ほうほう、この子はリク君か。ハイネルがこの世界に送ったのかな?と思って聞いてみたんだけど、ハイネルは『僕っ子でキャラが被っているニャ……!?』と妙な所で戦々恐々としていた。別にキャラ被っててもいいとおもうんだけどな。

ついでにリク君のステータスと私のステータスも見てみよう。

「千里眼。速水、室屋」


速水 澪(16歳)

職業:転生者

職業Lv:Lv1

HP:100

MP:100

攻撃:300

防御:300

回避:300

称号:神様の友人(オラクルを取る事で入手)

スキル:防御カ上昇大(防御200up)

防御カ上昇小(防御50up)

攻撃カ上昇大(攻撃200up)

攻撃カ上昇小(攻撃50up)

千里眼Lv1(相手や仲間のステータスが見れる)

テレパスLv1(自分を転生させた神様と対話できる)

お喋り上手Lv1(話した相手に好印象を持たせる)

使役魔法(使役魔法Lv1が使える様になる)

空間魔法(空間魔法Lv1が使える様になる)

付与魔法(付与魔法Lv1が使える様になる)


ふむふむ。こんな風になってるのか。ちょっと称号に違和感を感じるケド気にしないでおこう。

次はリク君のステータスだね。


室屋 陸(16歳)

職業:転生者

職業Lv:Lv1

HP:100

MP:100

攻撃:300

防御:100

回避:50

~~~~今のレベルではこれ以上見ることを許されていません!~~~


ありゃ。注意されちゃったよ。まぁLvを上げれば言い話だし。別にいいかな。

というか……同い年……だと?


「とりあえず、さ?ちょっと離れようよ。注目されてるみたいだしさ」

「う、うん……」


いい加減周りの目に気づいたのか、私の言う通りに動いてくれる。

近くに公園みたいなものもあるし、そこで詳しい話を聞こうかな。

感想などを貰えるとゆっくりがゆっくりしてゆっくりされちゃいます

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