転生の猫
今回はいつもの半分くらいですすいません
(やっちゃったなぁ……)
空を飛びながら私、速水澪は考えていた。
事が起きたのは数分……くらい前。
ゲーム屋で買ったゲームを胸に抱え、ほくほく顔で帰路についている途中車道に小さな黒い影を見たのだ。
綺麗な毛並みの首に鈴を付けた黒猫が道路を歩いていた。
しかしそのすぐ近くに巨大な鉄の塊、つまりはトラックが猫に迫っていた。猫は気づかない。
私の無類の猫好きの本能が体を動かしたのだろう。普段の私ではまずあり得ない程のスピードで道路へ飛び出し、猫を向こうの歩道へ突き飛ばす。
そしてまぁ、猫の身代わりとなった私にトラックが突進し、
全身にとてつもない衝撃が走った。
全身がバラバラになるような痛み。耐えがたい痛みに体中の空気を吐き出してしまう。
何度もバウンドし、全身がビリビリと痺れた。
こんなになると、流石にわかってしまう。私は死んでしまうんだなー……と。
後悔……は無い訳じゃない。まだ高校一年生なんだから無い訳がない。まだまだやり足りないことはいっぱいある。
朦朧とする意識に鞭を打って、必死に頭を上げ、目を明けて私が助けた猫を探す。
私の顔の目の前にあの黒猫が、こちらをジッと見つめていた。
死ぬ直前に、私の大好きな猫を助けることが出来てそれがせめてもの救い。
この日、速水澪は死んだ。




