日曜日の魔人
昔、単身赴任で地方に行ったとき、住んでいたアパート近くの高速道路には「日曜日の魔人」と呼ばれる変な生物が生息していた。なぜそんなふうに呼ばれているかというと、そいつは昔のサザエさんのオープニングソングを歌っているからだ。ただ歌っているだけなら魔人なんて呼んだりしない。そいつは夕闇をバックに歌いながら天高く昇っていくという噂だった。
ある日私が出張から帰って来たときにそいつは現れた。道の真ん中に立って何やらぼそぼそ歌っている。大きさは人間と大して変わらない。だが、頭が異常に大きいということだけ人間と異なっていた。聞いたことはあったが見たのはそのときが初めてである。どうしようかとも思ったがそのまま無視して突っ切ることにした。
私の車がそいつの脇を通り過ぎようとしたときそいつは噂通り宙に浮こうとしていた。そして横目でちらっとそいつを見た私は、そいつが日曜日の魔人と呼ばれる本当の理由を知ってしまった。
「毎週日曜はカルビ二皿無料!‐焼き肉なら魔人」
なんとそいつは近所の焼き肉屋の看板を背負っていたのである。
「自給いくらなんだろうか」
気になった私はそいつの思惑通り、次の日曜日にその店に足を運んだ。
「まったく、日曜日の魔人ときたら」
そんなことをぼやきながら一人で食べた肉は値段のわりにはおいしかった。
怪人や魔人って実際聞くとかなり胡散臭くていかにもって感じですね。
都市伝説と言えばホラーだって?ホラーはネタが被りそうなのでもう少し考えます。