水はけのいい駐車場
似たような話があったらごめんなさい。パクって書いた訳ではないので許して下さい、お願いします。
私の家の近くにやたらと水はけが良い場所がある。といってもそこはコンクリで固められていて普通なら水たまりでも出来そうなところなんだ。
じゃあなぜそんなに水はけがいいのかというと、そこに小さな穴が開いているからだ。しかも一個や二個じゃない。ちょうど家一軒建てられそうな空き地に百個くらい穴があいている。
ある年、かなり勢力の強い台風が来るらしいってニュースになった。駐車場といっても野ざらしでしかも低い場所じゃどうなるか分からないからという理由で、役所の人に車を別の場所に移すように言われた。でも楽観的な私だったのでどうせ大したことないだろうと高をくくって車を移動させなかった。案の定ここら一帯がほとんど浸かってしまうくらいの大雨になった。
まだ警報が出る前、私は酷くなる前に車を高台に移そうとそこに向かった。そうしたら空から雨が文字通り滝みたいに降っているのにそこだけ全然水が無かった。道はすでにちょっとした川みたいになっているっていうのに。よくよく見たらところどころに直径十センチくらいの穴があってそこにどんどん水が流れて行っていた。最新の技術かなんかだと思って私はそこに車を置いて帰った。安いわりにいい駐車場見つけたと喜びながら。
次の日の午後、やっとのこと晴れてきて、ついでに外に行く用事も出来たので俺はその駐車場に車を取りに行った。相変わらずぜんぜん水たまりが無く、技術の進歩に感心しながらキーを差し込んだら下の方からなんかごそごそいう音が聞こえてきたと咄嗟に音のしたあたりを見たけど別に何もなかった。多分、この下を水が流れているんだろうと思った。そうしたら急にこの下がどうなっているのか気になってきた。少しでもよく見たいという好奇心からだろう。一番大きい30センチ弱の穴を見つけて車に積んであった懐中電灯で照らしてみた。私はあまりのことに息を飲んだ。なんといったって下にぽっかり空洞が出来ていたのだから。雨や泥がだいぶ流れ込んできたことは容易に想像出来たのでいくらなんでも水が溜まるか流れるかしているものだと思っていたが、そんなもの見えないくらいに巨大な空洞だった。
そして私がなぜ真っ暗闇を巨大な空洞だと気付いたかというと、底に真っ白な人らしきものが立っててこっちを見ていたからだ。
私がその駐車場を利用しなくなってすぐに別の車が私が止めてあった場所に止まるようになった。安くて住宅街にも近いので人気なのかもしれない。おまけに水はけもいいしね。