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第11話 ぺちっ

「ソル・オブ・ウォッシュ」


 サンが床に倒れるリオに向けてかざした手から光が迸りリオに吸収される。だが、まだ気絶したまま。カイの瞳が赤から黒色に戻っているように効果はちゃんとある。ソル・オブ・ウォッシュは別に気絶状態から回復させる魔法ではないというだけの話だ。カイはリオの目を開けて瞳が赤から銀色――これがデフォルトカラーらしい――に戻っていることを確認してからリオの頬をぺちった。


 ぺちっ、ぺちっ。


「ん……なんか凄いいらつく……」


 リオが頭を抱えながら起き上がる。そして薄目を開けて、カイと目が合って、ガタガタと震え出す。


「あ、ああ……カイ・クローシャ……夢じゃ……なかった……!」


 その眼がうっすらと赤らんでいく。カイは慌ててフォローした。


「待て。まず最初に言っとく。俺にお前をPKする気は一切ない。当り前だろ。ここはゲームの世界じゃないんだから」


「え? ……あ、そうよね。いくらあなたでも現実化したこの世界でPKなんてしないわよね。ごめんなさい。ちょっと今精神病んでて、少しの不安を過剰に受け取ってしまう精神状態にあるの。不安障害、それもパニック障害に近い奴だと思う」


「そうか。どうでもいい」


「まぁちょっと聞きなさいよ。私ね、いきなり異世界転生して、本当に気が狂いそうだったの。ファンシーな恋愛小説の世界ならいいのに、よりにもよってクトゥルフ神話を下敷きにしたマッドファンタジーワールドに一人で転生したのよ? 本当に、自殺しようかとさえ思って、不安で不安で、心細くて心細くて、ルナティック・ゲージが溜まらないように心の安定を保つのに必死で、でも、あんたでも、あんたみたいな奴でも、この世界にいてくれてよかった。よかった。よかったよぉ……」


 カイは糞どうでもいい愚痴だなと思いながらリオに言った。


「そうか。よかったな。ところでリオ。早速お前の力を借りたい。ゴローが村に攻めてきた」


 ピクリ、とリオの眉が動く。戸惑いを隠すことなく表に出して言う。


「なんで? アルメリウスがいる限りゴローはガチキチ山から動かないわ。だってあいつはガチキチ山の守護者だもの」


「アルメリウスは俺がぶっ殺した」


「え? アルメリウスを?」


 キョトン、とリオはカイを見つめる。それから吹き出し、大声で笑い始めた。


「あ、あはは! あのアルメリウスを1人で倒したの? 低レベルで? あはははは! そんなことできるのあなたくらいよ! あー、良かった。あのルナティック・オンライン屈指の鬼畜ボスと戦わなくていいのね。あー心の底からホッとした。良かった、良かった……」


「そういうわけでゴローが暴れてる。あとアルメリウスを倒したら贄の少女が太陽の巫女と化した。名前はサンだ。太陽魔法でお前を正気に戻してくれたんだ。今説明することはこれくらいかな。じゃあ行こうか」


 リオとの会話が鬱陶しくなってきたカイは手短に説明を終えてリオの手を引いて無理やり小屋から出ることにした。カイに手を引かれるリオの頭に無数の疑問符が浮かぶ。


「え? は? 太陽の巫女? 嘘でしょ?  あ、ちょっと、もう少し説明を」


「あとでしてやる。行くぞサン」


「は、はい!」


 カイはリオとサンを伴って小屋から出た。

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