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しょぼくない  作者: 何故
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中途半端な空腹って何食べれば良いか分からないよね。

麺類で何が好きかと問われると、間違いなく僕はうどんと答えるだろう。別に他の麺類が嫌いなワケじゃない。ラーメンは豚骨が好きだが、最近どこの店も量が多いし味が濃い。パスタやスパゲッティは如何せん副菜前提で量が少し物足りなく感じる。自分で作ればどれも解決するが、店で食べるならやはりうどんだ。

というワケで僕は基本的にカップ麵を食べる時もうどんを優先する。好きなのもあるが、こういった背景があると、どうしてもそうなってしまう。そんなことを考えながら、麺をすする。汁がはねて服にシミができようがテーブルが汚れようが気にしない。後で拭けば大抵はどうにかなる。今はこの熱いうどんを食すのに専念する。すする時って結構無心になってるね、って誰かに言われたのを何となく思い出した。


カップ麵の器は形によるが、箸を器の中に入れたままだとバランスを崩してすぐ倒れる。前にスープがある程度入っている時にやらかしてぶちまけた事がある。それ以来どんな器でも乗せるときは入れない様にしている。この方が何となく見栄えも良く見える。…気がする。まあ結局流しに置く時は逆さになるのだから、今の状態にあまり意味はない。そう分かっていても、見栄えは気にするのが文化や作法なのだろうか。理解できない領域の話だろうな。

片付けをし、自室に戻った。空の部屋を通り過ぎる時、壁を蹴る音がした。少しビクッとしたが、あの寝相の悪さでいつもやっていることだから、今更何を驚いているのだろうと思う。さて、部屋に戻ったが、正直やることはない。課題も出ていないから勉強はしたくないし、かといって何か運動もしたくない。何より部屋から出る行為もしたくない。やはりゲームか。でも今はやる気が出ない。動画を観ようにもよさげなのは見付からない。アニメもさっき観たし、SNSも同様だ。何をしよう。ベットで仰向けになりながら、考える。思えばいつも休日はこんな感じだ。特にやることも、やりたいことも無い時は、いつもこうやってる。そうしている内に眠くなっていつも寝る。こんな生活は良くないとよく母さんから怒られている。それでも良い感じの事が思い付かなくて何度も繰り返す。そうしてまた怒られる。負のループだ。治そうと思っても治せない。まあよくある話だ。誰にだってある様な事だ。そう言い聞かせて考えるのをやめる。これもいつもの事だ。

だが今はやる事がある。部屋に居続けてアタッシュケースを守る。それが僕のやるべき事。それでも面倒なことには変わりはない。ホントに面倒だ。何で預かってしまったのだろうか。今になってすごく嫌になってきた。ダメだ、良くない性格が出てきてる。だがこういう時の対処法はある。こんなのが何度も何度も経験してきたのだから、対処法も自然と生まれている。こういう時は寝るに限る。寝てしまえば思考しなくて済むから、余計な逡巡もしない。こういう時は寝るのが一番だ。というワケで僕は寝た。




二時間程だろうか、起きると多少の空腹感と口の中の気持ち悪さと暑さを感じた。もう秋だと言うのに、昼寝しただけで汗をかく。大した厚着も毛布も被っていないのに。洗面所に行き、顔を洗い、歯を磨いた。ついでにシャワーも浴びたかったが、これは面倒だからやめた。キッチンに向かい、戸棚の菓子をあさった。確かクッキーがあったハズ。家族全員お気に入りのヤツだ。ただの市販の物だが、美味いヤツは美味い。それを証明した食べ物だ。とまあ家族全員お気に入りなので、消費量も馬鹿にならない。というワケでストックは多い。だがそのストックの買い出しをしたのは二週間前だったハズ。一昨日ぐらいに見た時はまだ少しあったハズだが、果たして残っているだろうか。

クッキー以外のストックの菓子をどかしながら探したが、一向に見付からない。やはりか。流石にもう残っていなかったか。恐らく母さんも気付いているだろうし、明日か明後日の買い出しで買って来るだろう。それまでは他の我慢するか。仕方なくラスクを持って、キッチンを後にした。


しまった、飲み物を持ってくるのを忘れた。自室に戻ってから思い出した。もう一度戻るのは面倒だが、こういった乾いた物はすぐ喉が渇くし、おまけに寝起きだから今もかなり渇いている。仕方ない、取りに戻るか。そう考えながらキッチンに戻ると、ガサガサと何かをあさる音がした。先程の僕同様に戸棚をあさる姿が、その音の正体だと気付くのに時間はかからなかった。

「げ」

「ん?」

気付かれた。まあ気付かれても問題はないが。

「あ透、クッキー知らん?」

「さっき探したけど無かったよ」

こいつも目的は同じか。

「ホントか~?ホントは隠し持ってんじゃないのか~?」

「わざわざそんなウソ吐いてどうにかなる相手じゃないのは自分が一番分かってんでしょ」

「だがそう思わせてるだけかもだろ?」

そう言って空は目を閉じた。

「能力使ったって無いんだから見付かんないでしょ」

空の能力の発動条件、それは目を閉じること。何でも、対象の周囲の風景が見えてくるらしい。それが目を閉じないと見えないらしい。瞼の裏にでも見えてんのかと初めて聞いた時は思った。まあ実際の所は本人にしか分からないし、分かったところで、というものでもある。

「チッ、ホントみたいだな」

「だから言ってんだろ」

「まあいいや。別のにすっか」

「お菓子じゃなくて、ちゃんとご飯食べたら?」

「カップ麺食ってるヤツに言われたくありません~」

「お菓子よりは良いだろ」

「同じだろ」

「はあ?」

こんな感じだ。いつもこんな感じの会話ばかりだ。いい加減にこういうのも直したいと思うが、面倒だし、放置していたらもうずっとこんなだ。

「まあ今晩飯行くから。母さんに言っといて」

「話変わり過ぎだし、自分でメール入れれば良いじゃん」

「それもそうだな」

「気付いてなかったんかい」

「まあいいや、とりあえずよろしく」

「おい」

そう言ってすたこらと空は逃げた。相変わらずだ。飄々(ひょうひょう)としていて、いつも掴めない、変なヤツ。

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